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パーシヴァル(グラブル)
※ダメ団長と愉快な仲間たち
※コラボ眼鏡の描き下ろしありがとう



旅を始めてどれくらい経っただろう。帝国に追われ、各地で起きる災厄をおさめ……そうしている内に、私が率いる騎空団も有名になった。
騎空団が有名になれば、所属するメンバーも有名になる。もとから有名だった子もいるけどね。例えばアルルメイヤ。彼女は的中率100%の占い師だった。あとはオルレアン騎士団のジャンヌ。それから……。

「やっぱりいい男にはスーツが一番だね」

「はわわ……みなさん、とってもかっこいいです……」

二週間ほど前のこと。コルワの紹介で知り合ったデザイナーが、私の騎空団のメンバーをもとにしたものを作りたいと言い始め、それを(コルワがテンションに任せ)承諾。
選ばれたのはフェードラッヘの四人の騎士。彼らをもとにしたアクセサリーがいくつか作られる事になった。既に決まっているのはブレスレットとイヤリング、そしてメガネ。
ランスロット、ヴェイン、パーシヴァル、ジークフリートにそれぞれ質問して、イメージが固まったところでデザイナーは即帰宅。ここまで約1時間というスピードだった。

そして今日。件のデザイナーが再び来訪し、サンプル品が完成したから撮影をすると言い出した。
イメージは“デキる男”。そのため、衣装はシンプルなスーツだ。
デザイナーが用意したスタジオでテキパキ進められる撮影の光景に、私とルリアはただただ魅入っていた。
シンプルなスーツを着こなし、自然な動作でポーズを決めたり、表情を変えたり……なんか、慣れてるな……。

「あ」

ふと、撮影中のパーシヴァルと目が合う。カメラマン側が見ているパーシヴァルはきっと流し目。その視線の先に私がいるなんて気づいていないだろう。
じっと、真剣な表情で。眼鏡のレンズ越しに見つめられる。
しばらくにらめっこ状態だったけど、見つめられる事に慣れていない私が先に視線を逸らして敗北。いや、特にゲームをしていたとか、勝ち負けとか、全然そういうのではなかったけど……なんとなく負けた気がした。

「名前、どうしたんですか? なんだか顔が真っ赤です」

「な、なんでもないよ」

「でもドキドキしてるのが伝わってきます」

「あー……」

ルリアと命を始めとしたあらゆる感覚を共有しているので、この心臓の高鳴りもルリアに伝わってしまっているらしい。
ドキドキの原因はわかっているらしいので、ルリアは「ふふ」と微笑んでいる。パーシヴァルに見つめられる事も、こうしてルリアになにもかもバレていることも恥ずかしい。




「お疲れ様」

撮影で疲れ切ったパーシヴァルが溜息と共にベッドに腰を下ろした。
彼は短く「あぁ」と返し、私が差し出した水を一気に飲み干した。

「雑誌は完成次第ここに持ってくるってさ」

「そうか……」

「かなり疲れてるね」

「表情を作るのも簡単じゃない上に、これが団長からの“仕事”である以上、適当な事は出来ないからな」

「良い心がけで大変けっこう」

隣に腰掛け、空になったコップを受け取ってサイドテーブルに置く。
ランスロットのことはヴェインに任せたし、ジークフリートは既に部屋で休んでいる。パーシヴァルの残った仕事は私がやっておくし、早く寝かせてあげないと。明日以降の討伐依頼に響いたら困るのは私だし。

「パーシヴァル、今日は異国の……」

肩を押され、ベッドに沈む背中。突然の事に思考がうまく働かず、覆いかぶさるパーシヴァルの姿をボーッと見つめる。
眼鏡越しの熱のこもった視線。片手は私の頭の横に、もう片方の手は赤いネクタイを緩める。

「少し付き合ってくれ」

低い声が鼓膜を刺激する。
ハッとこれからなにをするのか理解したのはいいが、時すでに遅し。パーシヴァルの唇が私のを塞ぎ、私は抵抗を諦めて彼のワイシャツのボタンに指をかけた。