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【 顔合わせ 】
二年三組の前には白衣を着た、なんだか顔色が悪い女性の先生が立っており、私を視界に捉えると「やっと、来たか」と眠そうな目をこちらに向けた。

「わ、私!槙那アユリです!今日からよろしくお願いします!」

「あたしは日暮真尋。このクラスの担任と保健の教科を担当してる。早速だけど、中に入って」

「失礼します……」

日暮先生に促され、開けられた扉の中へ。
広い教室に、たくさんの生徒。いくつか空いた席もある。
個性豊かなクラスメイト達の視線が痛いくらい私を突き刺した。
これから私は、彼女ら、彼らの仲間入りをするんだなあ。

「皆に紹介する。転入生の槙那アユリだ。仲良くするように」

「よろしくお願いします!」

「じゃあ、席はそこを使ってくれ」

日暮先生が指を指したのは、教室にならぶの中央の列の真ん中の席。
隣になるであろう大きな鈴をつけた女の子が、その席をポンポンと叩く。

「クラス全員の名前をいきなり覚えるのは大変だろうから、まずは席の周りを覚えるといい」

「はい」

日暮先生に席につくよう言われ、その場所へ。
大きい木製の机と椅子。その席につくと、左の席の男の子が私の方を向いた。

「俺は乾カゲトラだ。学級委員長をやっている。よろしく」

「よろしく、カゲトラさん」

「さん、だなんて堅いな。呼び捨てでいい」

クールな印象を与えるひとだ。
落ち着いた雰囲気がかっこいい。

「ウチは金箱スズネや。よろしゅうな、転入生!」

右の席の女の子がにかっと笑う。さっき席を教えてくれた子だ。大阪弁なんだ。

「よろしくねスズネちゃん」

「堅い堅い!ウチも呼び捨てでええで〜」

バンバンと私の背中を叩くスズネちゃん、もといスズネに苦笑いで「痛いよ」と返しておく。

「僕は古城タケル。仲良くしてね、アユリちゃん。もちろん、呼び捨てで構わないよ」

前の席に座る男の子はさっきのやりとりを聞いていたのか。それじゃ、お言葉に甘え、呼び捨てにする事にするよ。

「さて、授業を始めよう。アユリ、教科書とCCMは机の中に既に用意してある。大切にするように」

「わかりました」

「じゃあ、教科書の……」

机の中から保健の教科書を出し、CCMを手に取る。支給されたのは最近出てきた新型のCCMだ。SDカードを挿入し、起動させる。
画面に並んでいくアプリを見つめ、【M.Z.L】のアプリをタッチした。
そのアプリの中身はミゼルの部屋。昔あった、たま〇っちみたいなものだ。
アプリ内に私が顔を出した事で、無事に移動が完了したと理解したらしい。
ミゼルはアプリから出てCCM内を探索し始めた。

「アユリ、授業中だぞ」

「ちょっと起動するか確認したくて。新型機なんて初めて持ったものですから……」

「まったく……」

日暮先生に注意され、すぐにCCMをしまう。
スズネの笑いを押し殺した声を聞きながら、授業に集中した。

2015.08.11
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