×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -
【 リベンジ!フェンレス雪原制圧作戦! 】
デスワルさんのロストを経験し、悩んでいたスズネだったが、朝会った時にはいつも通りの笑顔を見せてくれた。
ウジウジ悩むのは性に会わへん!とにっこり笑う彼女の目元に薄く隈が見えたのは記憶に新しい。
夜中に色々考えたのかな。

授業を終え、ウォータイムの始まり。今日はどこに侵攻するのかな。楽しみだ。

ウォータイム開始から三十分も経たずにアナウンスが響いた。
内容は衝撃的なもの。アラビスタがクルセイド本拠地を制圧した、と。
これからはクルセイド所属の生徒はアラビスタ同盟軍所属になるという。
スズネやタケルの驚く声に耳を傾けながら、画面に映るアラビスタ領土を見つめていた。

《クルセイドとは友好関係にあったのだが……アラビスタ領土になっては仕方がない。旧クルセイド領地への侵攻を許可する。アラビスタの好きにさせるな》

ジンさんの命令も入ったし、やってやりますか。
あ、そういえば。
ジンさんに通信を繋ぎ、少し良いですかと問えば、低くて格好いい声が返ってきた。

「フェンレス雪原取り返しに行きませんか。私が最前線で道を作りますんで」

軽く手を上げて意見すると、ジンさんは少し考え込んだ後に《そうだな……》と声をもらす。
隣に映るミゼルが『なんのつもり?』とニヤリと笑い、私は一度視線だけよこして再びジンさんを見た。

《アユリの提案に反対の者はいるか》

《反対なんてしねえよ!この前の借り、返してやろうぜ!》

《わたくしも賛成ですわ》

《私も特にありません》

ジンさんが皆に聞けば無敵くんも、白小路さんも鴻森くんも賛成してくれた。
カゲトラさんはどうかなと通信画面を見れば、困惑したように笑い《俺も三人に同意しておく》と言った。やったね。

《ではフェンレス雪原制圧作戦を開始する。第一小隊はアユリを先頭に敵機を撃破しろ。第二、第三小隊はフラッグを。第四小隊は第一小隊の援護を》

「了解!」

腕が鳴るね。
レバーを握りしめ、タケルから来る到着の合図を待った。

『ロシウスから奪えるの?』

「奪うよ。私が突っ込んで蹴散らす。スズネがもうロストの苦しみを経験しないためにも」

タケルから通信が入り、《フェンレス雪原上空に到着。降下開始!》と声がかかる。
銃に持ち替え、降下最中にある程度の敵機をブレイクオーバーにした。

『まだまだ甘いね』

「これからだよ!」

カゲトラさんの止める声を聞き流し、着地と同時にブレードに持ち替えてスズネと共に突っ込んでいく。
ロシウスの汎用機ガウンタとグレイリオを、ごり押しだけど兎に角斬りつけて倒す。
ミゼルには品がないと呆れられたけど、退学かけた勝負に品を求められても困る。

《アユリ、後ろ!》

「んえ、」

《っと!危なかったわー!》

「ありがとスズネ!」

どうやらスナイパーに狙われていたらしい。
スズネがDCエリアルの武器腕につくブラスターを使ってそのスナイパーを倒してくれた。
ミゼルからは不機嫌そうな視線をいただいた。隙がありすぎだ、そう言われているみたい。

《こちら第三小隊。一つ目のフラッグ、制圧完了しましたわ》

白小路さんからの通信で、更に加速する機体。
確か、ミゼルはこうやって動いてたっけ?
記憶にあるレバーの動きと視界の動き方を思い出しながら、見よう見まねでやってみる。
思った以上に簡単に敵が倒せる。すごい、これ……効率良い動きしてる。

《今のところバイオレットデビルの反応はないよ。このままガンガン行っちゃえ!》

「タケルは可愛いなああぁあ!私頑張るよー!」

タケルがちょっと可愛い感じを出して応援してくれた。
もう超可愛い。さすがアスカちゃんの弟。
私はアスカちゃんの超ボーイッシュ姿を見たことがないからわからないけど、バン兄ちゃん曰わく女の子と分からなかったくらいだったらしいから、多分タケルとそっくりなんだろうな。
そういえば今月のLマガ買ってねえや。というか神威島Lマガ売ってんのかな。

『……アユリ、頑張って』

「頑張るよー……って、えぇええぇえ!?」

《なんやアユリ!なんかみっけたか!?バイオレットデビルか!?》

「いやっ、なんでもない!!」

ミゼルが頑張れとか、珍しい!!
テンション上がって、それとびっくりして思わず声が出てしまう。
バッとミゼルの方を見れば、視線をそっぽに逸らし、口は一文字にしていた。

『……なに』

「ミゼル、そんな顔もできるんだね」

『……』

「あ、消えた」

照れたなあいつ。
私の周りには可愛い男女が多すぎる。

タケルとミゼルの応援を受けてぐんぐんやる気が湧いてきた私は、ドンドン敵を蹴散らし、第二、第三小隊の為の道を作った。

「いっちょあがり!」

《今日のアユリ、スゲー調子良いじゃねえか!》

《ウチもしっかりせんとな……!》

足を踏み入れた二つ目のフラッグが青く染まっていく。
今までの失敗を繰り返さないように辺りを警戒し、第二小隊を待つ。
第三小隊は第四小隊と一つ目のフラッグを守っている。無敵くん部隊が見えて、フラッグの中へ。

近づいてくるロシウスの機体を撃ち抜いてブレイクオーバーにする。
しばらくそれを繰り返して、ようやくフラッグが青く染まった。

《フェンレス雪原の所有権は、ロシウス連合よりハーネスに移ります》

ハーネスの勝利を告げる声と共に、皆が歓喜の声をあげて通信がごちゃごちゃになる。
同時にウォータイム終了のブザーが響き渡り、私達はクラフトキャリアの迎えを待った。

2016.05.21
TOP