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【 第三小隊救出作戦…1 】
「私を最前線に置いてください!」

CCMを胸に抱き、ジンさんの立つ段差の前まで出る。
驚いたように少し見開かれた瞳が、すうと細められて「何故?」と私に問う。大丈夫、意見できる。

「私は現時点で一番勢いがあります。以前のアカマ砂漠制圧任務、そして先日のエンカ古代遺跡制圧任務で、良い結果を出せたと自負しています!」

“『アユリ、キミは多少の大口を叩いたって良いんだ。今のキミには相応の力があるのだから』”
ミゼルの言葉を思い出した。
バン兄ちゃんからミゼルを預かり、一年経った夏の雨の日だった気がする。どんな流れでそんな言葉が返ってきたのかはもう思い出せないけど、でも。
ミゼルに力を認められた気がして嬉しかったのをよく覚えている。

「私を、最前線に。必ず第三小隊を救出してみせます」

一歩、また一歩。ジンさんに意見して近づく。するとジンさんは案外あっさりと首を縦にふって「わかった」と瞳を閉じる。

「君たちに作戦を伝える」

パネルを操作し、ジンさんは“グランデの港”とその周辺をズームした。

「第一小隊はアユリを先頭に“グランデの港”までの進攻ルートを最優先で確保。確保完了次第、第三小隊救出作戦を遂行する」

「はい!」

「第二小隊はアラビスタの襲撃に備えハーネス本拠地の護衛任務を」

「よっし、任せろ!」

「第四小隊は引き続き諜報活動を続けてくれ。以上だ」

ジンさんがパネルをおろすと、腕を振り上げて「出撃準備!」と叫ぶ。
うわあ、やっぱり格好いいなあ。
各小隊のみんながコントロールポッドルームに向かう中、白小路さんと目が合った。

「……槙那さん、」

「白小路さん、すぐ助けに行くからね!絶対ロストしないで下さいよ!」

「え……えぇ、もちろんよ」

白小路さんにしょんぼりモードは似合わない。いつも高飛車、自信満々な方がいい。
沈んだ声を遮って笑顔で言えば、戸惑ったように頷いた白小路さん。

さて、今回は本当に集中しなくちゃ。

2016.04.26
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