ハーネス第一小隊とジェノック第一・第六小隊でロンドニアを正面突破。
他はサポートで周りから攻めていく作戦だ。
ロンドニアのエースプレイヤーの名は石川タケヒロくん。一体どんな力を秘めたひとなんだろうか。
《待機だ。まず通信を……よし、繋いだ》
画面に現れる茶髪の男子生徒。ロンドニアか。伊丹くんが前に所属してた国。
《ホントに来やがったぜ。全く信じられねえ》
呆れたようにそう言った石川タケヒロくんは《信じられねえと言えばキョウジだ》と呟く。まさかあの野郎と戦う事になるとはな、と。
その言い方、ただのクラスメートや仲間とは違うみたいに聞こえる。
カゲトラさんが伊丹くんが元ロンドニア生だと思い出して頷いた。
《正直、もうアイツには関わりたくねえが……ここで腐れ縁に決着をつけるべきなのかもな》
相手方は世界連合に乗り気のようだ。
《だが負け戦はゴメンだ。まずはお前らの力試しをさせてもらうぜ!》
まあそうなるよね。
ミゼルと拳を合わせ、ソードビットを射出。
ロンドニアの汎用機、パレスガーダーやウォルダムの中に一体だけある別の機体を目指す。
《アユリ!気を付けて行け!スズネは俺のサポートを頼む!》
《任しとき!》
「りょーかい!」
《アラタはアユリとエースプレイヤーを撃破しろ!》
《おう!》
《第六小隊!俺達は二人の援護だ!》
ソードビットが前方で待ち構える敵機を弾き飛ばし、弾かれた敵機を法条くん達がブレイクオーバーにする。
私とアラタはブラストマグナムを構えて撃ち洩らした敵機を撃ち抜く。
『アユリ、乾カゲトラ達が危ない』
「ソードビットをそっちにまわして。後は自分でやれる」
『わかった』
ソードビットをカゲトラさん達のサポートに向かわせ、私はアラタと共に石川タケヒロくんの機体に飛びかかった。
《俺はキョウジより弱いぞ》
《関係ない!全力で行く!》
「あんまり張り切りすぎてもだめだよ」
気だるそうな声に全力でぶつかりに行くアラタ。
石川タケヒロくんとアラタが近接武器で激しい打ち合いをしているのを、少し離れた場所で私は見ていた。
機を伺い、ブラストマグナムを向ける。
《敵の数が予想以上に多い!第六小隊、手伝ってくれ!》
《わかった。アユリ、ここは任せたぞ》
「はーい、頑張ります!」
出雲くんからの応援要請に応え、法条くん達が離れていく。
私は石川タケヒロくんの機体の腕に向けて引き金を引いた。
上手く当たってくれた。彼の手から離れていく槍。
その隙をついてアラタがブレイクオーバーした。
《やっぱ強えんだな、お前ら》
「協力……してくれますか?」
《わかったよ。ロンドニア残存兵力、全て提供してやる》
《よっし!サンキューな!》
ロンドニアを世界連合に引き入れる事に成功した。
これで全ての仮想国と話がついた。それを喜ぶジェノックとハーネスの声で通信はめちゃくちゃ。
横を見れば、ミゼルはソードビットを戻しながら口角を上げていた。……嬉しいのかな。一緒に喜んでくれてると思ってもいいよね。
《よっしゃー!世界連合、結成だ!》
《明日、全員を召集し今後の話し合いを進める。今日はみんなよく戦った。ゆっくり休もう》
出雲くんの言葉にため息をついて座席に寄りかかった。
お言葉に甘えて今日はじっくりゆっくり休ませて貰おう。
一日でこんなに動かしたのは、初めてオーバーロードを使ったあの日以来か。
タケルの迎えを待ちながら、みんなの喜ぶ声を聞いていた。
2016.06.12