それにしてもしんどいな……今日一日で世界連合を結成しないといけないから。
ポルトンに到着し、アラタが通信を繋げて声をかける。
すると返ってきたのは私達を突っぱねる言葉だった。
《話すことはないですって。じゃ、次行きましょ》
《待って!待って待って!諦めるの早すぎだろ!》
キャサリンさんがスルーしようとすると、なかなかの必死な形相で引き留めてきた。
ええ……なんなんだこの国は……。
通信画面に映るのは、確か……沖田ヒナコちゃん。中等部一年生だっけ。ポルトンのエースプレイヤー。
《へへっ。ポルトンを味方につけたければ、ポルトンより強いって事を証明して見せろ!》
《ふ〜ん。さ、みんな。さっさと叩き潰しましょ!》
《あ、あれ?なにその扱い……》
キャサリンさん……なかなかポルトンを下に見てるな。
ポルトンは小さい仮想国なのによく存続してるよね。凄いなあ。
とにかく早く終わらせて次に行かなければ。
『威勢の良い子だね』
「強そうだ」
『大丈夫だよ。ほら』
指差す先には、ジェノックの第四小隊のセイレーン。
先頭を走るキャサリンさんはかなり足取りが軽い。
国が小さい分、兵士も少ないポルトン。その為、広い本拠地を全て見張る事はできない。
監視の目をかいくぐり、あっという間に頂上にいる沖田ヒナコちゃんのもとに到着。
《なっ、いつの間に!》
《貰ったわよ!》
今回はジェノック第四小隊が大活躍だな。
抜群のコンビネーションで沖田ヒナコちゃんを追い詰めてブレイクオーバー。は、早い……。
《くっそお……参った……》
「沖田ヒナコちゃん、世界連合に参加して貰える……かな」
《わかったよ。参加してやるって》
やったね。画面越しにミゼルとハイタッチ。
順調だ。問題はここからだよな。
落ちた最大国家ロシウス連合。
そして私達ハーネスとは全くの繋がりのないロンドニアとグレンシュテイム。
ロシウスは法条くんが対話してくれるだろうが……ジェノックもロンドニア、グレンシュテイムとの関わりは薄い。心配だなあ。
2016.06.12