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【 ナラトコ砂原制圧作戦 】
法条くんには新機体マグナオルタスがジェノックから渡された。
もともと木場くんが法条くんの新機体として設計していたらしく、それをここのラボで造ったとか。
彼が使っていた機体ガウンタ・イゼルファーははカゲトラさんが引き継いだ。マジか。
ジェノックとハーネス。あわせて小隊数は十ある。
本日は三つの拠点に一斉に攻め込む。三、三、四の配置で向かう。
私達ハーネス第一小隊はジェノック第三小隊と第五小隊と共に“ナラトコ砂原”に攻め込む事になった。
コントロールポッドに乗り込む前にふたつの小隊の前に行く。

「東郷くん、風陣くん、今日はよろしくお願いします!」

「ええ、こちらこそよろしくお願いします。久し振りに合同出撃ですね。コンビネーションの腕は鈍っていませんか?」

「大丈夫ですよ!」

東郷くんと握手し、風陣くんの方を向く。
彼はつんけんした態度で「よろしく」とだけ言い、私と握手してはくれなかった。

「あはは……ごめんね槙那さん」

「……でもカイトは悪い奴じゃないんだ」

「わかってますよ。じゃあ行きましょうか」

笹川さんと吹野くんに謝罪されてもね……というか謝罪を求めるような事じゃない。
風陣くんは難しいひとだ。その距離を縮めるのは時間だけ。
スズネに呼ばれてコントロールポッドに走る。さて、お仕事ですよ。

《足を砂にとられないよう気をつけて進め!》

「了解!」

砂の足場は度重なるアラビスタ侵攻で慣れている。
DC汎用機も砂地形に強い。心配はいらないだろう。

《降下開始!行ってらっしゃい!》

タケルの声と共に開くクラフトキャリア。
一番に飛び出して、着地点に配置された敵機をドットブラスライザーのマルチギミックサックの拳銃モード“ブラストマグナム”に変えて撃ち抜いた。

《お見事です。槙那さん》

《行くで〜!リクヤ、ちゃんとついてきてや?》

《もちろん、遅れはとりません。金箱さんに続きますよ、ロイ君、篠目さん!》

先を行くスズネに続いて砂原を駆けていく東郷くん部隊。
それにカゲトラさんが続き、私は風陣くんと併走していた。

《何のつもりだい。最前線に出ないで》

「風陣くん達は私達と連携するのは初めてですよね。だからサポートを……」

《必要ないねそんなの。ボクらは勝手にやるさ。安心してよ、邪魔はしないから》

東郷くん達とやった初陣を思い出す。つんつんしてなれ合ってくれないんだ。辛い。
まあ邪魔しないって言ってくれたし、余裕こいて失敗するのもいけない。
風陣くんの冷たい視線に耐えきれず、「……わかりました」とその場を離れた。

『前途多難だ』

「仲良くなるの無理そうだよね〜」

《アユリ!手が空いているならフラッグに突っ込め!行けるな!?》

「行きます!!」

カゲトラさんから指示が入った。
ブースターを全開にしてフラッグを守る敵機に突っ込んだ。

「う〜ん……やっぱり駆動部に違和感……」

『負けてもそれは言い訳にならないよ』

「まず負けないから!」

ブラストマグナムをソードに変えて力任せに斬りつける。
敵機の腕が吹き飛んでいった。
斬りつけた遠心力をそのままに回し蹴りをコアボックスの中央に食らわせる。

「スズネ、パス!」

《ほい来た!》

蹴りで宙に浮かんだ敵機をスズネが放った弾丸が貫く。空中でブレイクオーバーになった敵機が砂の地面に転がった。

フラッグに到着した私に合流するみんなの後ろには、ブレイクオーバーして動かなくなったエゼルダームの機体。遅れてやってきた風陣くん部隊も無事だ。
フラッグが色を変えていく。
辺りを警戒……特に、あの黒い機体と青い機体に警戒しながら、やってきた増援部隊からフラッグを死守し、私達はフラッグの色が変わりきるのを見ていた。
アナウンスがかかり、ナラトコ砂原の所有権がハーネスに移ったことが知らされる。

《皆さん、お疲れ様でした》

《ああ。お疲れ》

《いやあ、かなり動いた気いするわ。砂やから進んでる気せえへんねん》

「おつかれさまですー」

クラフトキャリアの迎えを待ちながら、次々とかかるアナウンスに頬が上がる。
二カ所の領土名が言われ、それぞれハーネスとジェノックが手に入れたと。みんな健闘したね。
ジンさんから通信が入る。

《想像以上の働きをしてくるな、君たちは……》

《ジンはん、これからどうする?このまま本拠地叩くん?》

《いや、今日はこれで充分だ。皆、速やかに帰還するように》

「了解です」

帰還命令か。今日は一旦速い内に帰還して、自陣を防衛するみたいだ。
タケルのクラフトキャリアを待ちながら、私はドットブラスライザーを動かして機体の調子を見ていた。

2016.06.05
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