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【 エンカ古代遺跡哨戒任務 】
本日は防衛任務。ジンさんが“哨戒任務”とか言うからいつもビックリするわ。
哨戒とか普通分からないし読めないよ……。
しかも情報によると、各国からバンデットの目撃情報が相次いでいるとか。気を付けてウォータイムに臨まなきゃね。

「アユリ」

「は、はいっ!」

「君達の小隊はジェノック第一小隊と共に新型機の完成まで待機とする」

「了解です!」

私達は待機か。しかもアラタ達と一緒に。
タケルはCCM内に映る何かを細野くんと見て顔を見合わせ、上手くいけば今日のウォータイム中に新型機が完成すると言った。それはかなり喜ばしいことですな!
ちらりとこちらを見たタケルが、空いた手でマルを作った。ソードビット、うまく搭載出来るってことかな。

「LBXの製造と機体登録も同時に行うので、すぐに出撃できるはずです!」

「ああ。頼んだぞ」

ジンさんの言葉に頷き、タケルと細野くんがラボに向かっていく。
ウォータイム開始を知らせるブザーが鳴るまであと僅か。
司令室に残ったのはジンさん達司令官と、ハーネス・ジェノックの第一小隊。

《ウォータイム開始まで、あと一分……》

司令室のモニターに映るセカンドワールド。
ジンさんがパネルを操作し、画面にハーネスとジェノックの領土を映した。
指示を出す為のヘッドセットを片耳に付けると、美都先生に近寄って小声でなにかを話し始めた。

「なんか新鮮かも。ウォータイム中なのに司令室にいるなんて」

「確かに、そう経験しないな」

はしゃぐ私をカゲトラさんが宥める。
だって面白いよ。セカンドワールドの戦いが別視点から見られるんだもの。
いつもあの広い草原や砂漠、時には街を走り回っているんだ。
LBXから見る低い位置の景色が、視点を変えるだけでこんなにも小さく見える。
DキューブでのLBXバトルを思い出す。
ああ、久し振りにスタンダードレギュレーションでバトルがしたい。破壊のないバトルがしたい。
純粋に楽しむだけの、バトルが。

「ヒーローは遅れてやってくるってわけだ!なんか頼りにされてるみたいで良いよな!」

アラタは両手に拳をつくり、キラキラと瞳を輝かせている。
新機体がそんなに楽しみなんだ。まあソードビットを使えるって点では私も楽しみだけどさ。

「あ、見えましたね」

モニターに映るのは“エンカ古代遺跡”。
そう遠くない昔に無敵くんとどちらが先に制圧出来るかを競った場だ。
襲撃に警戒して各自武器を構えているみんなの様子に、スズネが欠伸をもらした。

「いつも思うけど、防衛任務は敵が来るまでヒマやな」

「こう言った任務は、ヒマであるに越した事はない」

「せやかてなあ……」

カゲトラさんの言う通り、ヒマな事が一番だ。
スズネの性格は充分理解してるからわかる。彼女にこういう任務は合わない。
アラタにも合わないな。星原くんは割といけそう。

“キミも嫌いだよね”

CCMに表示される言葉に頷く。まあ、私も防衛任務はあまりやりたくないな。大切なことだけど。

《所属不明の機体が接近!》

ほのぼのと皆を見守っていた司令室内に響く鴻森くんの声。
来たね、バンデット。
南から数十のバンデットの機体。北からは、あの黒い機体。それを映像で捉えた時、また目の奥がツキンと痛んだ。
アラタが細野くんに「新機体はまだか!?」と叫ぶ。
返事は焦る声で「もう少し!」。短い説明で、成型率67パーセントだと言った。

「ジンさん!俺はドットフェイサーで行きます!」

「良いだろう。ハルキ、ヒカル、一緒に出てくれ」

「了解!」

アラタが出雲くんと星原くんと共に司令室を出て行く。
私も行きますと言おうとしたが、ジンさんがアユリはこのまま待機だと言ってモニターに向き直ってしまった為に言えず。

モニターに映るアラタのドットフェイサーと、出雲くん、星原くんの機体。
確か、オーヴェインとバル・スパロス。
新機体の完成と仲間の無事を祈りながら、私達はモニターを見ていた。

2016.06.02
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