それによって新型機の開発が早まるか遅くなるかがわかる。
アラタは今日のウォータイムから出撃の許可がおりて大喜び。
まあ喜んでもアラタの部隊は自陣で防衛の任務なんだけどね。それでもウォータイムに参加できるだけで嬉しいみたいだ。
結果だけ言えば、資材集めは完了。
コンビネーションはバッチリな東郷くん部隊と共に、資材を運ぶみんなのサポートをした。
最近ずっと侵攻して資材を奪っていると言うのに、ロシウスは法条くんをこちらにぶつけてはこなかった。
正直助かったけど。法条くんに妨害されたら多分資材運び出すとか無理だわ。
さっきも言ったように、資材集めは完了した。
ラボの増築に必要な数の資材が揃ったのだ。
これで新型機の開発に取り掛かる事ができるらしい。ジンさんは嬉しそうに「よくやってくれた」と私達を褒めてくれた。
タケルは、ジンさんから貰った設計図の機体はすごく複雑な構造をしている。だから開発には時間がかかる……と言っていた。
天才くんを苦戦させる構造のLBXとか楽しみすぎる。どんな性能なんだろうか。
「セカンドワールドのラボならすぐ出来上がるんじゃないのか?」
「工程上、どうしても手作業で行わないと調整できない箇所があるんだ」
アラタと細野くんの話を聞きながら、ふうんと頷く。
手作業でやらなくちゃいけないところもあるんだな……メカニックの腕の見せどころだね。
「なにか希望があるなら言ってよ。最終調整前ならなんとか出来るし、僕らもやれる範囲で応えるからさ」
タケルが私とアラタにそう言った時、ピンと来た。
ソードビット、つけてもらえるかな。
アラタは細野くんに、移動時のなんちゃらが云々と話している。
同じ小隊で、そのメカニックだからこそわかる、プレイヤーの癖とか調整方法とかの話だろう。
私もよくタケルに言われた。戦いのムラによる機体ダメージがあーだこーだと。
ミゼルと私で共有してるLBXが普通のカスタマイズやメンテナンスでなんとかなる訳がない。ダメージの蓄積でボロボロになったDCオフェンサーについては謝るけど……ドットフェイサーはビックリするくらい壊れないな。
“壊れない”じゃ言い方に語弊があるな。
なんというか、DCオフェンサーとは違う強度を持っている。
ミゼルが動かせば、その操作スピードに耐えられなくて関節を可笑しくする事が昔は多々あった。DCオフェンサーも同じだった。
なのにドットフェイサーはない。本当に凄いな、この機体は。
話が盛大に逸れた。
とりあえずタケルを呼び、その耳に囁く。
ソードビットを搭載出来るようにならないか、と。
タケルは驚いたように目を見開いたが、「なんとかするよ」と笑って頷いた。
「ところで、そのソードビットはどうやって入手したの?神威島にそんなギミックが売ってるお店なんてないし……」
「作ったんだよ、ラボで」
「設計図は?」
「えーと……ない。けど大丈夫、うん」
「……まあいっか。ソードビットの搭載ね。あとで貰いに行くから」
「うん」
深くは聞いてこないよな。聞かれちゃまずいって雰囲気は出てない……と願いたい。
ダック荘に戻ったらタケルにソードビットを渡そう。
新型機にそれが搭載されたら、きっとバンデットを倒す素晴らしい戦力になるだろうから。
2016.06.01