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【 不気味な国 】
今日も元気にウォータイム。
ハーネスの司令室に行けば、壁に手をついてこめかみを抑えるアラタを見つけた。
彼を心配して声をかける鹿島さん。
そんなアラタを見たジンさんが、美都先生や日暮先生と視線でなにか会話した。

「その様子では出撃は無理だな。今は体力の回復に専念するんだ。アラタ君の出動はしばらく控えよう。いいですね、美都先生」

「ええ、問題ないわ」

アラタ、今日は出撃出来ないんだ。残念。
とりあえずアラタの方に向かい、大丈夫?と声をかける。
昨日負ったあの変な感覚のダメージが、ずっと残ってるなんて。そんなフラフラな状態だったのに、私を支えながらダック荘まで一緒に帰ってくれたんだ。

「アユリこそ大丈夫か?」

「この状況で私の心配する?……私はたまに目の奥が痛くなるけど、大丈夫だよ」

「そっか……タフだなー……」

俺は無理そうだわ……と床に座り込んだアラタ。
日暮先生は朝に、精密検査の結果がそろそろ届くはずだと言っていた。はやくアラタが良くなるといいな。



ウォータイムが始まり、まず先に聞いたのはアナウンスだった。
新仮想国エゼルダームが参加するにおいて、南にあったロシウスの領土をいくつかエゼルダームに明け渡すと。

怪しいし不気味だ、ちょっとつついてみるか?とスズネがトントンと画面に映るセカンドワールドの地図を叩く。
それに反対したのはジェノックだった。
出雲くんと磯谷くんは、わざわざ仕掛ける必要はない。だが注意を怠らずにいこう、と冷静な意見を下さった。

まあ確かに、むやみやたらに突っ込むのはよくない。それに今日できたばかりの仮想国だ。
他の国だって、領土が小さい内に叩いて潰してしまえと考えているだろうから、私達が行く必要はないだろう。

《アユリ、スズネ。北を警護していたリクヤ達から応援要請だ。行くぞ》

《また防衛任務かい!》

「了解でーす」

東郷くんから応援要請が来るなんて、嬉しくなるな。
最初に会った頃よりも仲良くなったっていう証拠だよね。
カゲトラさんに続いてクラフトキャリアに乗り込んだ。
スズネはフラッグを守るんやなく奪いたいんや!と叫んでいたが、まあ隊長様には届かなかった。

2016.05.30
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