睡蓮の願い事 | ナノ


―京都・犲本部―

「嘉神直人。長州の田舎、漁師の出身。細身に似合わず豪腕で両利き。流派は不詳。西山塾で学び師に感銘を受け狂信的な尊王攘夷論者になるが、度を越えた言動や殺戮に仲間たちから孤立。その後長州藩を脱藩。明治に入り身を隠すが、ある時より新政府に敵意を抱き再び殺人を繰り返している。“百々目鮫”という変わった刀を使用。現在滋賀県での目撃情報が入っている。
…以上だ。」
「尊王攘夷論者じゃのに自身の“神”である帝に牙を向けとるんか。」
「盲目な信者ほど何をするか分からないものよ。しかし滋賀ねぇ…」
「放っておけ。警察の仕事じゃ。」
「だが武田が隊を動かして滋賀に向かった。勝手にな。」
「………」
「彼処には曇神社がある。あわよくば“器”の情報が手に入るかもしれない。」
「ついでニ凜香も回収できるヨ。」
「あぁ、やはりですか。」
「懲りないわね、あの子も。」
「…行くぞ。」

安倍蒼世の一言で、彼らは一同に動き出す。

「トップが動くなら、従うしかないな。」


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