夏の暑さも少々和らいできたものの、やはりまだ日差しが強いこの時期。もう少し日焼け止めの力を借りなければならないようだ。

でも夕方は夕方でそれなりに過ごしやすい気温な気がしなくもない。どちらかというと少しまだ夏の面影はあると思うが、風がある分それほど暑さは感じないからだ。

そんな学校帰りの夕方、隣同士並んで歩く男女二つの影。私と、その彼氏である半田真一だ。
普段は部活の関係でめったに一緒に帰ることのない私達が、今日はなぜこの道を一緒に歩いているのか。それには一つ大きなわけがある。

今日のこの日は、私の誕生日だ。それを意識してか、半田は珍しく一緒に帰ろうと私を誘ってくれたのだ。部活はどうしたのかと聞くと、今日くらいは、と休んできたそうだ。
部活を休んでまで私の誕生日を選んでくれたということに、すごく嬉しくなってつい足取りが軽くなる。気持ちがふわふわと浮いてしまいそうだ。
どうやら彼は半端じゃないところもあったらしい。とかそんなことは前から気付いているが。

普段一緒に過ごすことが少ない分、今日はたくさん話そうと思い片っ端から色々な話題を出す。半田も笑って話してくれて、楽しそうにしている。よかった、と少し安心したのは内緒の話。

そうしてたわいない話をして歩いているうちに、家の前に着いてしまった。ああ、早いなあ。もう少し話していたいというのが本音だが、半田の家は私の家から少し遠いからあまりここに居座らせるわけにはいかないのだ。

でも今日はいい日になった。私にとっては一緒に帰ったこの時間がプレゼントだ。
少し寂しさを感じながらも、半田に送ってくれてありがとうと告げて家に帰ろうとした。


「なまえ、」


半田に呼び止められて、振り向く。半田の顔が少しだけほんのりと赤い気がする。


「どうしたの?」

「ああ、と…その…」


半田は私から目を逸らし、何か言いにくそうに口籠らせて頭を掻く。どうしたのだと半田の名を呼ぶと、彼は私を真っ直ぐに見つめた。


「お前が生まれてくれて、お前と出会えて、良かった。…ありがとな」


一瞬時が止まったようだった。思いもよらない言葉に耳を疑う。
しかし、顔を真っ赤に染めてそっぽを向く彼を見ると、本当に言われたのだと実感してつい照れ臭くなってしまった。それと同時に、自然と口元が緩んでしまう。
この人は普段こんなこと絶対に言わない。照れてちゃんと言わずに終わらせてしまう。だから驚きもあるのだけれど、それよりも照れとか嬉しさの方が遥かに上で。


「え…え、何もう一回言ってよ!」

「はあ!?」


いたずら半分にそう言ってみると、彼は更に顔を赤くした。


「もう帰るからな!」







一度しか言えません




ああ、相当頑張ってくれたんだ。

そう思うと、心の底から

愛しさが込み上げてきた






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理良様へ誕生日プレゼントとして捧げます。
遅くなっちゃってごめんね‥!
改めまして、誕生日おめでとう!これからもよろしくね◎


:: 09/26 happybirthday ::


お題:stardust様

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