今日は久しぶりにチューバとコントラバスパートが同じ教室で練習、ということでかなりテンションが高い。
というのも、今回練習している曲がチューバと殆ど同じ動きだったりするからだ。
最近じゃ、いつもぼっちで練習してたら人がいるってだけで練習に精が入る。
1人よりか2人、2人よりか3人だよね!
練習場所は、いつも私が使ってる教室…まあ、私のクラスの教室にされていた。
佐藤君が下りんの…?、と嫌そうな顔をしていたけど気にしない。
部長が決めたんだし、しょうがないよ!、と笑顔で答えておいた。
大体いつも階段下りてないんだし、いい運動だよ、うん。
私とメイちゃんは先に準備できていたので、楽器を持って階段を下りて教室へ向かって行った。
教室の引き戸を引けば、誰かいた。
誰か、と思って目を凝らして見れば…あれ、緑の髪だ。
先に教室にいた誰かはこっちを見た。

「…白波か。」

『やっぱり、緑間君だ。あれ、部活は?』

「今日はないのだよ、だから自己学習をしていた。」

『あー…じゃあ、別の場所に変えた方がいいね…』

教室で勉強していた誰か、はやっぱり見た通り緑間君だった。
緑間君を見て、メイちゃんが私の後ろに隠れた。
メイちゃんは人見知りをする子だから、しょうがないか。

「別に白波なら構わん。」
『チューバの後輩もいるけどいい?』
「…まあ不快な音を出さなければな。」
『大丈夫、メイちゃんは音安定してるからね。』

え!?、と後ろでメイちゃんが驚いた声を出していた。
ほう、と緑間君が眼鏡を上げた。
私は教室に入って、コントラバスを椅子に置いた。
入口でおろおろとしているメイちゃんは中々入ろうとしない。
すると、何してんのー?、と佐藤君の声が聞こえてきた。
緑間君の顔が少し歪んだ。

「さ、佐藤先輩…!」
「メイちゃん、入んないの?……げ、緑間!」
「……佐藤、人の顔を見てげ、とはなんだ。失礼な男なのだよ。」

緑間君がふん、と不機嫌そうだ。
佐藤君も佐藤君で、嫌悪感が滲み出ているけども。

「大体、緑間…こっちは部活だってんだから出て行けよ。」
「何を言っているのだよ、俺が先にいたのだよ。何故俺が退くのだよ。」
「はあ?普通だろが。部外者は出て行けっての。」
「白波はここがいい、と言っていた。お前だけ他のところに行けばいいのだよ。」
「何のためのパート練だよ!!」

うわー、また喧嘩してるよ…。
毎回毎回会う度に喧嘩をするのもどうかと思うんだけど…。
私は溜息をついて、2人とも、と言った。

『一応、部活と言えど、ここはクラス教室。クラスの人がいたら、その人を優先する、って部長が言ってたよねー?』
「う…」
『でも、緑間君は良いよ、って言ってくれたんだし…ご厚意を無駄にするのもあれだよね。』
「……サヨウデスカ。」

佐藤君が苦笑いをしているのを緑間君が勝ち誇ったかのようにドヤ顔をしていた。
メイちゃんは落ち着きのない様子だが、チューバを私のコントラバスの隣に置いた。
佐藤君も仕方なくチューバと楽譜を置いた。
私とメイちゃんは楽譜を上に置いているので1度教室から出た。


「……ぜってー、口出しすんなよ…!!」
「無理なのだよ、下手な音なら尚更な。」
「この中で下手な音を出す奴なんていないっての、メイちゃんなんか部長にめっちゃ褒められるぐらいの力量だかんな…」
「ほう、それは楽しみなのだよ。」








「…なんで緑間が白ちゃんの隣で座ってんだよ!!」

「俺がどこに座っていようと勝手なのだよ。」
「俺の気が散る…!!」

知らんのだよ、と緑間君は華麗に長い脚を組んで踏ん反り返っていた。
佐藤君が苛々してるけど、時間がないから私が進行を執った。

『はいはい、じゃあ教則本の8ページから始めから…って私のない。』
「白波、13ページからの方がいいのだよ。和音で進める方がいい。」
「お前、白ちゃんに口出しすんな!!」

隣の緑間君が私の教則本を奪っていた。
えー、えー、一応音を調節するために先にチューニング音基本の音階をやってから和音なんだけどな…。
そう思って言おうとしたら、緑間君がペラペラ、と教則本を捲って、閉じた。

「34ページと50ページがおすすめなのだよ。」
『いやいや、そこらへんって低音パートはやらないんだけども…』
「基礎だろうと、低音がやらないにしろ…人事を尽くすのだよ。」

佐藤君が煩く緑間君を批判していると、メイちゃんが控えめに言った。

「34、と50ページ…私もやりたいです…」
「え、メイちゃん何言ってんの!?これ低音はやらないって!」
『メイちゃんが言うならやろっか。』
「ちょ、白ちゃん!」

私も大概メイちゃんには甘い。
だって、こんなに可愛い後輩(といってもチューバだけども)がやりたいって言うんだからやるしかない!
佐藤君は嫌々だったけども、了承してくれた。
チューニング音を合わせて、音階を合わせる。
大体いつもの基礎を終わらせたら、緑間君おすすめのページをやることになった。
どうして、低音パートはやっていない、というのかというと…。
どうにもこうにも、音が高い。コントラバスとチューバの音域はチューバの方が低い。
低いのに、2〜3オクターブ上なんて余裕で出る。
やってもいいのだけども、初めから高音を出せるほど口が慣れている低音パートなんていない。
強いて言うならば、コントラバスぐらいだ。でもきっと汚い音が出るんだろうな。
コントラバスはそんなに高音を出せるような楽器でもないし、早い動きをできる訳でもない。
メイちゃんはそういう高音域を出すのは得意だけど、佐藤君は低音を確実に安定して出せるのが得意だから辛そう。
34ページのなんて特に辛い。
コントラバスとチューバの楽譜って大体同じだから合わせやすいけど…私、これできるのか…?
メトロノームを合わせて、やり始めたが。

「……む、り…」
「せ、先輩…」
「佐藤が下手糞すぎて話にならないのだよ。」
「うっせぇよ…!!」
『まあ、初っ端から高い音を確実に出せるのも早々ないからね…』

でも、これを吹いてみてわかったのは、やっぱり佐藤君は高音が難しいということ、その分メイちゃんがカバーしているように高音が出ていた。
凄いな、メイちゃん…。
それを緑間君も思ったのか、メイちゃんを見て感心していた。

「まあまあよかったのだよ。」
「え、あ、あり、ありがとうございます…」
「当ったり前だ!なんてったって、メイちゃんは次期低音パートリーダーだからな!」
「えっ!?」

それまだ先の話だよ、佐藤君。
佐藤君が余計なことを言ったせいか、メイちゃんが挙動不審になっていた。
仕方なく私が手を数回叩いて、こちらを向かせた。

『ほら、次やるよ。基礎の次は今度演奏会でやる曲の練習ね。個人練は30分。その後3人で合わせようね。』
「はーい。」
「はい!」

さてさて、私も練習…ってまた私の楽譜がない。
隣を見たら、緑間君がまた勝手に見ていた。
楽譜を読み終わったのか、私に返してきた。

「結構激しい曲だな。」
『まあ、そうかなぁ…吹奏楽のための楽曲にしてそうかもしれないね。』
「だが、白波だったすぐにできるだろう。」
『だから、毎回言ってるけど、私そんなにできる人じゃないからね!人並みよりかはコントラバスが出来ているってだけだからね!』

そんなことないのだよ、と緑間君は言った。
本当緑間君は私を過大評価するなぁ…。
そんな中、メイちゃんが何か佐藤君に言っていた。
なんだろう、気になる…。
それを聞いた佐藤君の顔が引きつっていた。

「…佐藤、そんな暇があるなら、さっさと練習でもしろ。」
「うっせ、わかってるっての…」






結局、何だかんだ緑間君に音程を指導されたりして、練習があっという間に終わってしまった。
緑間君は佐藤君に睨まれてたけど、そこそこ楽しそうな顔をしていた。
緑間君にお礼を言って別れ、私達3人は片づけに向かった。
メイちゃんは嬉しそうな顔をしていた。
理由を聞けば、えっと、と少し言いにくそうな顔をしていた。

「緑間、先輩と…なまえ先輩仲良いなぁって思って…」
『まあ、友達だからね。』
「そ、そうなんですね…」

メイちゃんは不思議そうな顔をしていた。
何か変なことを言ったっけな…。
それと、とメイちゃんは続けた。

「佐藤先輩と、緑間先輩も、仲良いですよね。」

それを聞いて、私は笑ってしまった。
まあ、仲が良いって言っても、犬猿の仲みたいだけどね。




4

(部活が終わって帰ろうとしたら、)(昇降口で緑間君と佐藤君がまた喧嘩してた)
(メイちゃんと一緒に笑って4人で一緒に帰った)


――――――――――――――――――――――
リクエストしてくださった、理良様に捧げます!
た、大変遅れてしまって申し訳ありませんでした!!しかもかなりの長さになってしまって…(土下座)
結構導入が長くて、練習があまり書けてなかったですね…すみません…。
コントラバスがないんですね、ちょっと残念です…チューバですか!チューバは低音が上から下へ響く低音界の帝王だからカッコイイですよね…!!
チューバも練習したら2オクターブ下〜3オクターブ上も出るぐらい肺活量を凄い使う楽器をやっていらっしゃる理良様は凄い方なんでしょうね…
私はチューバもやってましたが、どうも合いませんでした…(泣)
長々と書いてしまいましたが、リクエストしてくださってありがとうございました!
これからもよろしくお願いします!












「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -