「こんな暑い日にお鍋食べたいってなんですか」
キッチンから出来上がった熱々の鍋を持ってきて、嫌みったらしくソファーに座る人物に声をかければ、彼は「ああ、できたの」と特に気にした様子もなく私に視線を移した。
「暑い日、って言ってもねぇ。寒いくらい冷房きいてるじゃない」
「地球に優しくない人だ」
「夏場クーラー無しで生きていけるほど快適な気温じゃないんだよ、ここは。」
だからって、設定温度下げすぎだろう。19度ってなんだ。臨也さんはもっと地球に優しい人間になるべきだ。
そりゃ、部屋が広いから調度いいのかもしれないが、さすがに寒い。真夏だというのに上に何か羽織っておかないと寒すぎて辛い。
「ほら、お鍋食べたら暖まるだろうしさ」
「温度上げれば解決するんじゃないですか」
「それは駄目。機械に熱は毒なの、なまえならよく知ってるだろう?」
「電源を落とせばいい」
「食べたら仕事するんだよ」
「パソコンに扇風機でも当ててればいい」
「俺が涼しくないじゃない」
「熱中症でぶっ倒れろ」
「はは、怖いこと言うねぇ」
どうでもいいからクーラー切って、と言っても聞いてくれないから、仕方なしに鍋をテーブルに置いてソファーに腰掛ける。
食べ気色もないし、適当に彼が食べたら下げてしまおう。残りはまた臨也さんが食べればいい。
「食べないの?」
「食べたくないです」
「折角作ったんだろう?少しくらい腹に入れておくくらいはできるんじゃない?」
作ったんだろう、って。作らせたんだろう。仕事しようとしていた矢先に。
でも、まあ。折角作ってこのノミ蟲だけに食されるなんてなんだか鍋がかわいそうに思えてきた私は、キッチンから食器を持ってくると、ソファーとテーブルの間に座る彼の向かいに同じように座って、いただきますと手を合わせた。
「・・・我ながら良い出来」
「ご飯は作るのうまいよね、無駄に」
「は、ってなんですか」
「そのままの意味なんだけど、わからなかった?」
この人は。作ってやったんだから感謝の一つや二つくらいしてほしいものだ。
「やっぱり嫌いです」
「知ってる」
愉しそうに笑う彼を睨みつけ、一つ溜息をついた私はお鍋に箸を伸ばした。
温度差
(外は夏で中は秋ですよ。)
(外、出たくなくなるよね)
(まあ。)
(でも、一つ頼まれてほしい仕事があるんだけど)
(この部屋に根付けさせといてあんた鬼か)
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リクエストありがとうございました!
長編、読んで頂けて幸いです(●´ω`●)
今後も気に入ってくださるような作品ができるよう、頑張ります!
駄目だし、書き直し当気になる点がございましたら全力で直します!
ありがとうございました!
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こちらこそ素敵なお話ありがとうございました!
時雨ちゃん可愛いです!
他にも可愛い夢主ちゃんや素敵なお話があるのでおすすめですよ!