精市が倒れた。
ねぇ、嘘でしょ。
今日、一緒に登校したじゃん。
皆と朝練、頑張ってたじゃん。
来週の日曜日は付き合って半年だね、じゃあお祝いも兼ねてデートしよう、って約束したじゃん。
ねぇ、精市!!
真田君から連絡を貰って、一目散に病院へ走った。
疲れたとか、苦しいとか、そんなのはどっかに置いてきたみたいに感じた。
「…っはぁ、はぁ、はぁ、っ真田君!
精市は!?」
「…幸村は今、集中治療室だ」
「ねぇ、精一は大丈夫だよね!!
だって皆から神の子って呼ばれてんでしょ!!
今日だって、今度の日曜日デートしよう、って約束したんだよ!!
精市は約束、破るわけないもん!!」
「…なまえちゃん」
「おばさん!!
精一、精一は大丈夫ですよね!?」
「…ごめん、ね。
私にも、分からないの…」
そう言った瞬間、おばさんは泣き崩れてしまった。
もしも一つだけ願いが叶うなら、
私の命を彼に与えてください。
私はどうなってもいい。
だから、お願いです。
どうか彼を助けてください。
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