最近までマネージャーとして所属していたテニス部は、3年生である私達は引退して2年生へと代替わりした。

それと同時に受験勉強が始まった。
それはもう慣れないことばかりでとても忙しくなった。



そんな勉強に追われる日々の中、借りていた本を返しに行くと見知った顔を見つけた。


「・・・光君?」


そこには長机に突っ伏して寝ている光君こと財前光君がいた。


なんでここに居るか全然分からないけど、こうして偶然に光君と会えて嬉しかった。



私は音を立てないように、光君の向かいの席に腰をおろす。


「ひーかーるーくーん」


囁きながら人差し指で柔らかいほっぺをつつく。


「ん、ぅ・・・」


あ、起こしちゃったかな・・・。


瞼が微かに動き起きるかと思ったけど、今だなお寝息をたている。




寝顔をよく見てみると、ほんの少しだけ眉間に皺が寄っており、どこか疲れた顔をしていた。


「光君、お疲れ様・・・」


労うように頭をそっと撫でたとき、ふわっと心地好い風が吹き抜けた。





愛しい寝顔




すると光君はへにゃと幸せそうに笑った。

その寝顔に大きく胸が高鳴る。
同時に光君が世界の誰より愛しくて、あたしは光君に優しくキスをした。





この5秒後、彼が目覚めることを私は知らない






  
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