早く会いたい。
12月4日。
普通の人にとってはただの平日。
けれど私にとっては、すごく特別な日。
だって、私の愛する彼氏、仁王雅治の誕生日だから。
いつもより早起きして、いつもより細かく身だしなみに気をつけて。
私は鞄と青い包みを持って家を飛び出した。
いつもより早い電車に乗ったこともあってか人が少なかった。
「・・・喜んでくれるかな」
落とさないように優しく抱き締めた青い包みには、ガラスの十字架のネックレスが入っている。
つい先日、雅治の誕生日プレゼントを買いに行った時に出掛けた時、一目惚れして買った。
値段もそこそこしたけど、頑張ってお小遣いを貯めていたから買うことができた。
と、その時いつも降りている駅名のアナウンスが聞こえ、私は電車を降りた。
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いつもより早く着いた学校。
そこでふと気づく。
こんなに早く学校に着いたところで雅治には会えないではないかということに。
理由その@
昨日、クラスメイトのジャッカル君から明日は朝練がないということを聞いた。
理由そのA
雅治は朝練が休みの時はのんびりと登校する。
前に朝練が休みで、のんびりしてたら遅刻しそいになったなり、と言っていた。
何とも悲しい事実に気づきながらも、人がまばらな校内を歩く。
このまま真っ直ぐ教室に行くのはつまんない。
何故かそう思い、学校内をぶらつき始めた。
ふと、窓から空を見上げると真っ青な空に、1つだけ真っ白な雲が漂っていた。
少しの間、ぼんやりと空を眺めてたら、雲って雅治に似てるよね、と話したのを思い出した。
そしたらなんだから鼻がツンと痛くなって、空がぼんやりと霞んだ。
「・・・はぁ。寒いし、早く教室に行こっと」
いましがた考えたことを誤魔化すように呟いて教室へと足を向けた。
その時、廊下の曲がり角がキラリと光ったように見えた。
ドキッと胸が高なる。
私は無意識のうちに走りはじめたていた。
曲がり角を曲がると、見覚えのなある、銀色の頭と同色の尻尾が見えた。
「・・・ッ雅治!!」
そう叫ぶように呼ぶと振り向いてくれたことが嬉しくて、私は雅治に勢いよくタックルするように抱きついた。
「おはようさん、##NAME2##。
お前さんは朝から元気じゃのぅ・・・」
ふあぁ、と欠伸をし少し眠そうな顔で私のことを見る。
「今日は朝練ないのに、学校来るの早いね!」
「…なんか今日はのぅ、早く来たら会えるような気がして早く来たんじゃ」
いつもの余裕綽々な笑顔じゃない、優しい笑顔で微笑まれ優しく頭を撫でられた。
「私ね、今日は雅治の誕生日だから早く会いたくて、いつもより早く来たんだ。」
胸が激しく鳴る。
今日は冷えてるのに、身体中がドンドン熱くなる。
「・・・ほぅ。
それじゃあ期待してもいいんかのぅ?」
「・・・えっ、と。
・・・雅治、誕生日おめでとう。
私と出逢って付き合ってくれて、そして生まれてきてくれてありがとう。
これからも、よろしくね」
カバンに入れてたプレゼントを差し出すと、すごく嬉しそうに受け取ってくれた。
雅治のいつもの余裕たっぷりの笑顔も嫌いじゃないけど、今みたいな年相応な笑顔が好きだなって見つめていると、見つめていた雅治の顔が間近にあり、唇に柔らかくて暖かいものが触れた。
「え、ちょっ、雅治!!」
「のぅ、##NAME2##。
これからも、俺の隣で笑っててくれ」
約束
私はその言葉に笑顔で「もちろんだよ」と答えた。