「ねぇ、いい加減にしてくれない?」

「まーくん、なんのことかさっぱり分からないなり」


ニヤリと笑いながら、今だだなおポニーテールを引っ張る。

いい加減にしてほしい。





人が真面目に授業を受けているのに気を散らすようなことをするのは。


「だからさ、人が嫌がるようなことしないで。
迷惑なの。
真面目に授業を受けてたいの。
私はね、あなたみたいに真面目に授業を受けなくても、テストでいい点数を取れるタイプじゃないの。
だから――――」

「おい、みょうじ。
余所見する余裕があるってことは、この問題、解けるよな?」

「うぇっ、あ、はいっ!」


先生に名前を呼ばれ反射的に返事をし立ってしまう。





苦手な数学。


さっきまで真面目に授業を受けていたが、そんなのはさっきの話。




ただでさえ苦手なのに、説明を聞いてなかったら余計分かんないよ…。




どうしよ…。


「x=20」


…え。



後ろから聞こえてきた声。


「問題の答えじゃき、早く答えんしゃい。
そのまま立ってたいんか」

「どうした、分からないのか?」

「えっと、x=20、です…」


恐る恐る言われたことを言うと教師は軽く目を見開いていた。


「あ、あぁ…、正解だ。
座っていいぞー」


安堵の溜め息がそっと漏れる。



席に座りまた後ろを向く。


「さっきはありがと。
けどもう邪魔はしないでね」














**************








しかし今日であんなやつとはお別れ!


なんと今日のLHRは席替え、私は祈りに祈ってクジを引いた。










場所は隣が廊下の一番後ろの席。
窓側のほうがいいななんて思ったけど、一番後ろの席になれただけでも良しとしよう!








仁王は…。

後ろから教室をぐるりと見渡すと、窓側の前から三列目に気だるそうに座っている仁王がいた。




うん、あれくらい遠いなら大丈夫。

離れて嬉しいはずなのに、ちょっと寂しいなんて自分がいる。



なんであんなやつと離れて寂しいなんて思うわけ?
意味分かんない!


「はい、じゃあ、なんか諸事情で席変えたいやついるかー?」

「はい、先生!
俺、ここだと少し黒板が見えないので席を変えたいです」

「ふぅむ、そうだな…。
仁王、確か視力良かったよな?
藤崎と席変わってもらえるか?」

「・・・構わないなり」

「ありがとな、仁王!」


え、ちょ、藤崎君!?
何、仁王と席変えちゃうわけ!


これじゃあ・・・


「よろしくな、みょうじ」


前の席から移動してきた仁王が私に、優しく笑いかけた。





































なんでかなんて分からないけど、胸が苦しくなるから





















――――――――――


タイトルはstardust様からお借りしました


遊さん相互ありがとうございました!!
遊さんと相互できてもう嬉しすぎて溶けそうです(笑)
これからも末永くよろしくお願いします!












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