「雅治のこと、好きだよ」


私は雅治の目を真っ直ぐ見て、右手を雅治の指に絡ませながらこう言った。


「あぁ、俺もじゃよ」


嘘つき。
私の目を見てない。

…けど、きっとあたしのことは好きなんだ。
私の姉であるおねえちゃんの妹として。



きっと私を通して、私の姉を愛してるんだ。


「なまえ」


名前を呼んで、私に微笑んだと思ったら抱き締められた。
そして優しくキスが舞い降りる。


けど、やっぱりその目は私を見ているようで、どこか遠くて奥深いところを見ているみたいだね。






…私に触れる

暖かい手も、

優しい唇も、

少し苦しいくらいの力で抱き締める腕も、



全部、お姉ちゃんに向けてなんだね。





ねぇ、欲しいよ。
雅治の全部の愛。




無理なのは分かってる。

だから、お願い――――







私だけに、綺麗で優しい愛の言葉を囁いて




たとえそれが、嘘だとしても
私だけが愛されてるんだ、って錯覚させるほど上手く騙してよ



…できるよね?


…だって、貴方は詐欺師だもの












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