<ミドル フェイズT>







星屑を纏った竜は、傷付いた身体を地面に叩きつけて倒れ、苦しそうに声をあげる。共に飛び出してきた人影が抱き締めるようにして竜を労った。


「無理をさせてすまない、スターダスト……休んでいてくれ」

「ありがとうな。遊星、スターダストドラゴン。さて、急がないと」


竜の姿が消え、その光の中から二つの人影が現れた。姿ははっきりと見えなかったが、その二人を特定できた遊戯とアテムは彼らの名前を呼ぶ。


「「十代くん!遊星くん!」」


それぞれ驚いたように目を見開いた顔と、嬉しそうに目を輝かせた顔に、穏やかな笑顔が返される。久しぶりに突き合わせた彼らは記憶の中にあるよりも大人びてはいるものの、変わらない表情を見せていた。


「遊戯さん!アテムさん!遊星が二人のところに出られると言ってたんですが、こんなにすぐ会えるとは思ってませんでした!」

「なるほど、十代くんと一緒に時空を越えてきたのか……」

「凄いね遊星くん!そんなこともできるんだ!」

「あ、はい」

「これであと一人で集まれば、あの時の全員が揃うな」


その言葉に遊星は俯き、十代が口を噤む。二人の様子に遊戯とアテムは深刻さを感じながら、何があった、と短く尋ねた。
服の上からカルトゥーシュを掴んだ遊星の手が小刻みに震えているのを見て、意を決したように十代は口を開く。


「遊星のとこで、大変なことが起こっているんです」


淡々とした口調で、十代が説明を始める。遊星からの情報に加え、自らが体験した襲撃。そして、覇王の様子について。腕を組み黙って話を聴いていたアテムは、一通り話が終わるといくつかの質問をし、再び口を閉じた。


「俺は、」


俯いたまま、遊星が言葉を発する。僅かに震えた声を、三人は無言で聞いた。

目を閉じると、砂の国が浮かび、そこに生きる人々が見えた。全ては彼の守るべき大切なもので、それが彼の使命だった。害すものがあれば、排除しなければならない。


「国を守るために俺は、覇王を倒さなければならない。だから、」


それでも、遊星にとって仲間は同じように大切で、掛け替えのないものだ。例えそれが遠い過去の、短い記憶の中で出会った人達だとしても。


「殺してしまうかも、しれない」


「分かった、遊星くん。ボク達も行こう」


突然の声に遊星は顔をあげて遊戯を見た。その勢いで、瞳の中に溜まっていた水分が、空気の中へと飛んでいく。


「ああ、オレも一緒に行こう。遊星は、王だ。国のために戦えばいい」

「ボク達は、遊星くんと一緒に戦うよ。そして、もし戦うことになったら」

「俺達は仲間として、全力で覇王を助けるぜ」


力強い言葉に遊星が頷くと、十代は手を宙に翳す。そこには再び異次元への扉を開いていた。


「パズルを置いてきました。これでもう一度、その場所に戻れるはずです」









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