<クライマックス フェイズZ>
砂の大地がどこまでも続く広大なフィールドで、強大な力を持つ悪魔が決闘者達を見下ろしていた。一度停止し動きだしたこの世界は、絶望的な状況を含めて何一つ変わってはいない。
「死者蘇生を発動!!」
魔法カードの発動を宣言した遊戯の声が、世界に再び変化を起こす。彼にとっても最後の闘いで、自らの手で封印したそのカードは、阻害されることなく効果を解放させた。
一度地に落ちた星屑を纏った白銀の竜が、再び高く飛び立つ。光の舞うその姿を確認してから、アテムはカードを翳し宙を切るように操る。
「オレは古のルールを発動する。いでよ、ブラックマジシャン!! さぁ、条件は揃ったぜ」
出現した漆黒の魔術師は杖を一回転させた後、主の次の命に備えるために、その先をマリシャスデビルへと構える。最凶と呼ばれた悪魔の英雄は、主を失っていようとその構えに臆することはなかった。
遊星にはアテムの伝えたいこと分かっていた。この状況を、遊星はすでに体験している。だからスターダストドラゴンと共に前を向き、倒すべき敵を見据えた。もう、振り返る必要はない。
「行くぞ、スターダスト!E-HEROマリシャスデビルに攻撃!!」
「この瞬間、ブラック・スパイラル・フォースを発動!攻撃モンスターの攻撃力を、二倍にする!!」
「これで終わらせる!! 響け、シューティングソニック!!」
光のブレスに闇魔術師の魔導弾が加わり、光と闇は螺旋を描いて突き進む。対象とされた悪魔がその中に消える寸前、遊星は目を閉じて呟いた。
いつかまた、
――― GAMECLEAR ――
闘いが終わり、誰もいなくなった砂漠の地平線から、一筋の陽光が差し込んできらめいた。
< fin >
(ありがとうございました!)