<クライマックス フェイズT>
「これはゲームだ」
遊戯が確認を込めてに言うと、再び王の私室に集まった“プレイヤー”達は、各々の思いを確かめるように頷いた。
そしてアテムが言葉を引き継ぐ。
「状況から見るとこれは闇のゲームだと考えられる。だからオレ達は、負けるわけにはいかない」
敵対する自分自身を思いながら、十代はいつもと同じように笑顔を浮かべた。
「全力で、闘うだけです」
頼もしいな、とアテムが呟くと同時に、部屋の外がにわかに騒がしくなる。近付いてくる足音に意識を向けると、勢いよく扉が開かれた。
「ファラオ!敵襲です!!日の沈む方角から、悪魔の大軍が街に向かっていると!!」
「兵に伝えろ!全軍で守備に当たり、敵の侵攻を許すな。民を守れ!!」
力強い声が指示を伝えると、報告に来た男はその命を伝えに走っていった。遊星は振り返り、黄金の召喚具を構えて言う。
「俺達も行きましょう!俺には守らなくてはならないものがあります。来てくれ、スター…」
「ちょっと待ったーっ!」
十代がディスクを付けた腕を遊星の前にかざし、召喚に静止をかけた。反論が始まるより先に、十代は一枚のカードを手にする。
「遊星のモンスターは身を削りすぎだぜ。そんで、何も飛ぶだけが移動じゃないだろ」
慣れた手付きでディスクにカードがセットされる。起動していることを意味する光を確認してから、十代は声を張り上げた。
「異次元トンネル ミラーゲート発動!」
「なるほど、トラップはセットしなくても使えるのか」
腕を組んだアテムは関心しながら発動したゲートを眺めた。あくまで冷静な視点を持つ彼に、遊星は息を吐き出し、少しだけ頭を冷やす。
「……!!」
そして、あることに気がついた。
「行くぜ!」
遊星がそれを口にするよりも早く、決闘者達は闘いのフィールドに続くゲートに飛び込んだ。
迷っている時間などない。
消えていった背中を追うために、遊星もその中へ飛び込んだ。
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