泣く、ということについて、俺は少しばかり詳しい。
圧倒的な力が身を脅かし、絶望的な状況を作り、やがて己の破滅と終焉を迎える。そう理解した人間は、目を見開き表情を固めた数秒後に、目元と口元を同時に変化させ顔を酷く歪ませる。そして泣くのだ。
そのまま声を上げて膝をつく者もいれば、武器を構え向かってくる者もいた。その後の行動に差はあれど、結末など変わらない。破滅と終焉。理解したそれらは間違い無く訪れる。何故なら、俺は覇王だからだ。
この世界を支配し、超融合を完成させなければならない。それが覇王たる俺の意味だ。力が、強大な力が必要だと理解していた。闇は力となる。ならば世界を闇で覆い、その支配者となろう。
覇王十代の意思などたかがこの程度だ。全ては覇王という名の十代に備わった“力”が、それがどんなものか良く理解していたユベルの手の中で踊っていただけの話だった。
結果的にユベルは目的である超融合を完成させ、十代は融合という自身の力を扱えない程に弱体化した。
その事実を知った時、俺は理解した。ああ、これは破滅だ。そして終焉を迎えるのだろう。
十代の力である覇王は、その性質上より強い力を求める。これは後で知ったことだが、覇王とは破滅の光という強大な力に対抗するためのものであるという。ならばそう、俺は十代により強い力を与える存在でなければならない。
だが、覇王十代は何を残した。
力を与えるべき十代の力を削ぎ、更には破滅の光の意思を受けたユベルに力を与えてしまったではないか。
己の破滅と終焉を理解した。俺の残した結果は覇王を破滅させ、破滅した覇王は終焉を迎える。だから、
「つまり、それは思い出し泣きなんだな覇王」
「過去のことだろうと、これは事実だ。俺は理解した。泣くとはそういうものだ」
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覇王様の反省会。