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扉を越えて、視界が白い光に埋め尽くされる。
霞んでいく視界には構わず、オレは進む。

ずっと待たせていたみんなが浮かんだ。
置いていくみんなの声が聞こえた。

意識をも、白い光が埋め尽くしていくのを感じる。
霞んでいく意識のまま、進む。進めは進む程に、消えていく。


消える、前に


「    」


呟いた 言 葉 は









 光の外から始まる














「……ん?」


目を開くと、オレは先程と同じ様に歩いていた。

歩きながら辺りを見渡す。
何も、無い。
ただ白だけがあるかのような空間だった。
歩くことが出来るから、間違いなく地面は在るのだろう。が、見えない。情報が少なすぎる中で不用意に歩き続けるのは危険なのかもしれないが“気がついたら歩いていた”という情報を手放せずにいた。

だからオレは歩き続ける。

歩きながら、自らの姿を確認してみる。何の変化もない、いつもの制服姿……えっ?
少し考える……何か、変だ。

オレはバクラとの究極の闇のゲームを経て自分の記憶と名前を取り戻し、相棒との闘いの儀に負けて冥界の扉を通って来た、はずだ。

だというのに、何故かオレの姿は変わらず相棒と共有していた時のもので、しかも……記憶が、ない。

究極の闇のゲームでの激戦は覚えている。だが、勝利後に得たはずの、三千年前、オレが“アテム”だったころの記憶が、ない。


「どういうことだ。オレはアテムか…?違うなら……遊戯だとでも?」

「お前が誰かなんて知ったことじゃないが、遊戯はオレだ」


突然、下から声がした。と、思うと同時に足を掴まれた。よろける。


「っ……!…お前、は!?」


体制を立て直して一歩引き、地面に転がっている“遊戯”と名乗った者と距離を取った。
悪いがオレの知ってる相棒、“武藤遊戯”はそんな声じゃないぜ。


「ククク……だからボクは遊戯だと言ってるだろう?」


立ち上がった奴は、赤い眼をぎらぎらさせながら笑う。
そうか、だから“遊戯”か……
こいつのことは分かる。覚えているのではなく、分かる。


「やはりお前も来たんだな。歓迎してやるよ……よくきたね、退屈な世界へようこそ」


奴の袖で、アンクが光った。


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