二人ぼっち
どうしていつもあなたは突然そんなことを言い出すのか、私にはちっとも理解ができない。
「だからのぉ、柳生。もし今世界が終わるとしたら、俺が代わりに死んでやるから安心しんしゃい」
「そうじゃなくて…私が言いたいのはなぜ今そんな話をするのかということです」
んー?とあの猫目は意味深げに笑う。
「何となくじゃ」
はぁと無意識に溜め息が漏れる。
「それに…もし世界が終わるとしたら、あなたが死んでも私が死ぬことには変わりありません」
「ほぉ?」
それは困ったと彼は眉間にしわを作る。
「柳生が死んだら、俺の生きる意味が無くなる」
「…?」
「柳生――お前は俺の生きる意味なんじゃ」
そう言ってきれいな銀色の髪を持つ彼は、その髪色に負けないくらいニコリと一切の邪気なく笑った。
私が生きる意味とは、一体どういうことなのだろうか?
そもそも人間というのは自分が全てであって自分が全てであるから、誰かのために生きるなんてことがあるのだろうか?
ほんとに
彼の言うことは
私の理解を超えている。
「あなたが言うことはいつも理解できません」
分からんくていいよと彼は再び口角を上げた。
「おれが勝手に思ってるだけやき、柳生は普通に生きてたらええ」
そのとき
彼が言ってることは
やっぱり理解不能だったけど
少しだけでいいから
彼の目からこの世界を見てみたいと
何となくそう思った。
fin.