青空




見上げた空は遠く遠く。
何処までも青く青く、澄んでいた。


何かに似てるなって思って、ああ、あなたの瞳だと気づいた。

うん、悪くない。



自分はちっぽけな存在だと見せつけられているようで、空を見上げることは好きじゃなかったけれど。

ほんとに笑ってしまう。



「日吉ってさぁ、何でそんなに優しいの?」


耳に痛いほどのやさしい声。
肌が焼けるほど暖かいぬくもり。

手を伸ばせばいつも届く距離にいて。


あなたに会う前はずっと独りだったから。



「優しくなんてありませんよ」


自分が優しいと云うのなら、あなたは何と呼ぶのですか?



「じゃあなんで日吉は俺の傍にいてくれるの?」


それは――…

それはなんて卑怯な質問なんだろう。


そんなことを言われたら、


「あなたが好きだからですよ」


それしか言えないじゃないか。


知ってるとあなたはクスクス笑う。



嗚呼。
もしかしたらきっとあなたは――……




見上げた空は遠く遠く。
何処までも青く青く
澄んでいた




fin.




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