忍跡←日←切
――――――
見上げた空は突き抜けるような青色で。
まるで世界にひとりぼっちになってしまったような、そんな感じ。
『泣いてるの?』
そう聞かれて、ふと目元に手をやれば青色の水滴が。
それでもあの人の蒼色のがずっとずっと綺麗で、その恋人の髪色のがずっとずっと似合ってた。
すぅと手のひらの青色は透明に色を変える。
好きだったんだ…
ほんとうに。
そんなことをつぶやいたら余計に涙が溢れてきて、恥ずかしくて別に泣いてるわけじゃないと強がってみた。
少しだけ目の前にいる男は悲しそうに眉をひそめて、泣かないでと笑った。
泣いてねぇと言い返して、宛もなく再び空を見上げた。
空は変わらず
皮肉なほど澄んだ青色で。
ああ、
これなら
空に天国があるって頷ける。
あの人もいつかこの場所に旅立つ日が来るんだと思ったら、それはあまりにも素敵なことのように思えて、
再び涙があふれて落ちた。
晴れ、時々涙
fin.