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雨で濡れた日吉くんを抱きしめると冷たかった。ポタポタとそのきれいな髪を滑って、雨の雫は俺の肩口を濡らす。降りしきる雨の向こうには、もうすっかり夜の闇が色濃く世界を覆っていた。


こうした雨の夜、日吉くんは必ず俺を訪ねてくる。傘もささずに、その細いからだを雨に晒して、氷のように冷たくなった身体で俺に会いに来る。

そうして俺は、いつものように日吉くんを抱きしめる。抱きしめると、日吉くんの冷たい体温と俺の体温が混じり合って、互いの身体の境目が分からなくなった。

そしたら突然、みるみるうちに日吉くんの身体が氷みたいに溶けだして、気付いたら俺の身体も溶けていた。

ドロドロと日吉くんと俺は互いに混じり合いながら、コンクリートの冷たい地面に机にこぼしたジュースみたいに延びていく。


相変わらず雨はしとしと降っていて、地面に辿り着いた雨の雫と一緒に俺達は宛もなく流れてく。


何だか酷く気分が良かった。

ずっと一緒だねって日吉くんに笑いかけたけど、声が届いたかどうかは分からなかった。


fin.





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