「ルークは可愛いなぁ」


陛下にそう言われて振り向く。違う。陛下が言ったのは俺じゃなくてブウサギの方。


「そうですね…」


俺はジェイド(可愛くない方の)を抱きしめながらそう言う。

陛下に見てもらいたい。ブウサギじゃなくて…俺自身を。


「…ジェイドの奴、俺以上に懐いてやがる…そこだけは似ているんだな」
「ジェイドが…?俺に…?」
「何だ、気付いてなかったのか。あいつ、お前のこと大好きだぞ?」


初めて知った…ジェイドとは初めて会った時に比べて仲良くなったとしか思ってなかった。


「…てことは、ジェイドのこと…好きじゃないのか…?」
「好きというか…大切な仲間って感じですけど…」
「じゃあ、好きな奴いるのか?」


一瞬、心臓が跳ねる。俺の好きな人。それは、陛下。なんて口が裂けても言えない。


「い、いません…」
「そうなのか?なら…」


陛下はルーク(ブウサギ)を放し、後ろから俺を抱きしめてきた。驚いた俺はとっさにジェイドから手を放した。


「へ、陛下…?」
「なら、俺に恋をしろ、ルーク」
「な、何で…」
「好きな奴いないなら作っちまえよ」
「でも、何で陛下に…?」
「そりゃあ…俺がルークのこと好き…だからだよ」


予想もしてなかった言葉に戸惑ってしまう。

陛下が…俺のことを…?


「すみません、陛下…」
「何だ?」
「俺、陛下に嘘ついてました…俺…陛下のことが…好きなんです…!!」


陛下は今、どんな顔をしているんだろう。そう考えると心臓が破裂しそうなほど緊張してきて…何も考えられなくなっていた。


「ルーク」
「は、はい…」
「実は冗談ですとかいうのはなしだぞ?」
「え?へ、へい―!?」


陛下の左手が俺の右頬に触れ、ぐいっと俺の顔を振り向かせた。そして、陛下の顔が近付き、口を塞がれた


「ん…ふっ…へ、いか…」
「やっぱりお前は可愛いよ、ルーク」


陛下はぎゅっと強く俺を抱きしめた。陛下の温もり。愛されてるんだなぁ。そう思えた。





温もりを感じて
俺自身を見ていてくれた





ピオルクは幸せであってもらいたい(本編があれだから)。