イザカガ編
お昼休み、イザークとカガリは屋上でお弁当を食べていた。
そこで発せられたとある一言。
「なぁ、イザーク」
「ん?」
「キス好き?」
「えっ!?」
質問に驚き一瞬にして固まる。
一方のカガリは小首を傾げながら答えを待っていた。
「なっ//ななっ//何を言っとるんだ貴様は!!」
「何って、ただ聞いただけじゃないか、そんなに変な事言ったか?」
「…いや、変な事では…ない…」
「じゃあ、教えてくれ」
「何が?」
「だから、キス好きかって聞いてるんだよ」
「…好きか嫌いかと問われれば……好きだ」
イザークは照れながらそう答えた。
すると、カガリは花が咲いたかのように笑う。
「そっか、よかった。明日、楽しみにしててくれよな」
次の日。
イザークは朝から挙動不審だった。
周りから白い目で見られていたが、そんな事を気にする余裕など1mmもない。
そして、待ちに待った時間が訪れる。
昼休み。
誰もいない屋上。
床に腰を降ろして並んで座る。
「イザーク!」
「カガリ…」
見詰め合う2人。
恥ずかしくなったイザークは、つい咳払いをする。
「あー、ゴホン…その…なんだ、一応念入りに歯磨きはしてきた」
「歯磨き?」
「ああ、そうだ……まさかっ!?貴様はしてないのか?」
「朝食後にはしたけど…」
「俺はその後何度も磨いた」
「どうしてそんなに磨くんだ?」
「そっ…それは礼儀として…//」
「食べた後でいいと思うけど」
「はぁ!?」
素頓狂な声を上げているイザークの目の前にあるモノが出された。
「ハイ♪」
「へっ?」
それはお弁当箱。
蓋を開けて中を覗けば……
「ジャーン!キスの天ぷらだぞ。他に南蛮漬けもあるぞ!!」
カガリの顔は満面の笑みで溢れていた。
イザークは全く反応出来ない。
魂が抜き取られたかのように呆けて動かなくなった。
そんなイザークの姿と気にする事なくカガリは鱚の天ぷらを一つ摘む。
「イザーク、アーン♪」
にこやかな顔で箸を差し出される。
勿論、イザークに断れる訳もない。
「美味しいか?」
「ああ…」
「よかった…あっ!」
「なんだ?」
「後で、一緒に歯磨きしような」
「ああ…そうだな…」
イザークは心中で大きく溜息吐きながら、カガリには笑顔で頷いた。
通称歯磨き編の
イザカガバージョンです
2011.5.13