レイカガ編

お昼休み、レイとカガリは屋上でお弁当を食べていた。
そこで発せられたとある一言。

「なぁ、レイ」
「ん?」
「キス好き?」
「えっ!?」

一瞬にして、レイは別の世界に飛び立った。
柔らかな唇を手で触れて、そして今度は自らの唇を寄せる。
数秒重なっていた唇を離すと、カガリの唇から望んだ言葉紡がれる。

『私…レイの事が…』



「レイッ!!」

呼ぶ声と全身が揺さぶられ、旅立っていた世界から呼び戻される。

「ハッ…何でしょう?」
「だから、キス好きかって聞いてるんだ!」

少し怒っているカガリは唇を尖らせ、不服の表情でレイを見ていた。
その顔が可愛くて、また、別世界で堪能しそうになる脳を理性でどうにか制御しカガリの問いに答える。

「大好きです…」

整った顔で綺麗な笑みを浮かべた。
すると、カガリは花が咲いたかのように笑う。

「そっか、よかった。明日、楽しみにしててくれよな」



次の日。
レイはいつも通りの平静さを装っていた。
しかし、内心は心臓が破裂しそうなくらい激しく鼓動している。
そして、待ちに待った時間訪れる。
昼休み。
誰もいない屋上。
床に腰を降ろして並んで座る。

「レイ!」
「カガリ…」

見詰め合う2人。
レイはつい妄想してしまう。
自然と体を寄せて重ねる唇。
最初は触れ合い徐々に濃厚になる口付け。
そのまま体に触れていく。
恥ずかしがるカガリにレイは止まる事なくどんどんと進めていく。
因みにレイ的にはこの間の妄想でカガリの告白から付き合っている事になっていた。
けれどこれはあくまで妄想。

「レイ!!」
「ハッ…何ですか?」

呼ばれて現実に戻れば目の前にあるモノを出された。

「ハイ♪」
「ハイ?」

それはお弁当箱。
蓋を開けて中を覗けば……

「ジャーン!キスの天ぷらだぞ。他に南蛮漬けもあるぞ!!」

カガリの顔は満面の笑みで溢れていた。

「……」

予想していなかった展開にレイは言葉がでない。
妄想も湧かない。
何の反応も示さないレイにカガリは涙目になって見上げてくる。

「キス嫌いなのか?」

その言葉でレイの妄想は多大に広がった。

『私の事、もう嫌いなんだな』

別れ話をするカガリ。
そんな事ないとレイがどんな言葉を語ってもカガリの心は動かない。
離れて行こうとするカガリを強引に抱き締めキスする。
思いの全てを体で表すレイにカガリもまた応える。
何度も重ねる唇。
けれどもあくまで妄想。

「レイってば!!」
「ハッ…何でしょう?」
「だから、キス嫌いかって聞いてるんだ!」

まるっきり昨日の繰り返し。
今度は理性の力を借りずに答えた。

「勿論、大好きです」

その後、食べさせて貰う間、レイの妄想は尽きなかった。




通称妄想編の
レイカガバージョンです

2011.5.5









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