地上の遺産

長い長い空の旅の果てに着いた目的地は写真で見るより美しい世界だった。



百塔の街プラハ。
その所以は尖塔が多く存在するからと言われている。
ヴルダヴァ河の西岸フラッチャーニの丘の上に立つプラハ城。
旧市街にある中世最古の石橋カレル橋。
聖ヴィート教会、黄金の小路などを巡る。
次に訪れたのは同じチェコ内にある世界で最も美しい街の一つと言われているチェスキー・クルムロフ。
街中を歩いて美しさを堪能した後は、国境を越えてオーストリアのザルツブルクへ。
モーツァルトが生まれた古都でミラベル庭園、レジデンス広場を見て回る。
郊外に歩みを進めて湖水地方へ向かう。
ザルツカンマングートと呼ばれ、世界の湖畔の中で最も美しい湖岸の村ハルシュタットを散策。
美しい風景の後は首都ウィーンに。
ハプスブルク家の夏の離宮、美しい泉の名を持つシェーンブルン宮殿。
ウィーンのシンボル、シュテファン寺院などを観光し、音楽の都でミニコンサートも楽しんだ。
再び国境を越えて、ハンガリーに入りドナウの真珠ブダペストへ。
モザイク屋根瓦が美しいマーチャーシュ教会。
ネオロマネスク様式の白い塔を持つ漁夫の砦。
ハンガリー歴代の王などの像が並ぶ英雄広場。
ブダペスト最大の聖イシュトヴァーン大聖堂などを見て回っていく。
夜はドナウ川ナイトクルーズ。
ライトアップされたくさり橋は幻想的という言葉が一番しっくりくる。
そして、最後に訪れたのはクロアチア。
首都ザグレブを通って、プリトビッツェ湖群国立公園へ。
16の湖群と92の滝があり自然の美を歩いて巡る。
途中、スプリットによって、ディオクレティアヌス宮殿を見て、旅の終着地点ドブロブニクへと向かう。
“アドリア海の真珠”と呼ばれているその街は、茜色の屋根と白壁の家が立ち並ぶ。
周りは紺碧の海に囲まれており少し離れた高台から旧市街を見下ろせば、オレンジと白と青のコントラストが美しく映え正に絶景。
溜息混じりに見入るカガリとイザーク。



「俺は…貴様の言いたい事は理解しているつもりだ」
「言いたい事?」
「ああ、この美しく風景のある世界を…地球を守っていきたいってことだろ。言われなくても、そうするつもりだ」
「…………ゴメン」
「?…どうして謝る?」
「その…そんな大層な事、考えてなかったからさ」
「大層?」
「ただ…ただ、お前と一緒に色んな所を見て回って思い出を作りたかっただけで…深い意味なんてないんだ…だから、ゴメン」
「…そうか」
「うん、ゴメン」
「謝るな。俺が勝手にそう思っていただけだから…謝るな」
「イザーク…」
「美しい地上を共に見られて俺は嬉しく思う…今度はプラントを共に回ろう。人工物ばかりでこの風景に勝るモノはないかもしれんが…それでも、俺は貴様と…カガリと見て回って思い出を作りたいからな」
「フフッ、私達が見て回ったモノも人工物だぞ」
「何を言ってる遺産だろ。地上の」
「かつての人工物だよ。私達の御先祖様時代のな」
「まあ、そうかもしれんが」
「私達がよく見ている風景もいずれそうなるかもしれないよな」
「そうだな」
「だから、色んな所へ、行ける所は全て行こう。2人で」




これまた趣味に走った作品です!

ほぼ説明文ですが
管理人なりの愛を
詰め込んでおります★

出来れば中欧系の旅行パンフを
見て頂けたら2人が
どんな風景を見たか解ります

因みに
管理人は中欧どころか
海外すら行った事がありません

2011.7.14










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