七夕に願いを

7月7日。
所謂七夕。
カガリの執務室の窓辺に笹飾りが置かれていた。
幾つもの短冊がぶら下がってる。

「何、コレ?」
「七夕の笹飾りだ。遠い国でそういう風習があるんだ」
「へぇー」

好奇心丸出しで笹飾りを真剣に見入るアウル。
揺れる笹の音が微かに聞こえる。
カガリはそれを執務をこなしながら見ていた。

「ねぇ」
「ん?」
「色んな事が書いてあるけど、イイ事あるの?」
「短冊に願いを書いて笹に飾ると願い事が叶うんだ」
「えー、嘘だぁ?」
「そういう言伝えがあるんだ」
「ふぅ〜ん」

今度は紙の擦れる音が聞こえだす。

「カガリの…どれ?」
「私の?」
「短冊」
「ああ、オレンジ色のヤツだよ」
「コレか……何、コレ…」
「私の願い事だ」
「つまんない」

書かれている内容が大層不服なのか、アウルはぶうたれる。

「つまんないとはなんだ。心からの願い事だぞ」
「ぶぅーっ」

“世界平和”

それがカガリの短冊に書かれている文字。
オーブ代表首長として真の願い事だ。

「もっと、何かなかったの?」
「何かってなんだ?」
「例えば、僕とイチャイチャしたいとか、僕とラブラブしたいとか、僕とチューしたいとか、僕と…」
「それ、お前の願い事だろ」
「ん?…そだね」
「だったら、短冊に書けばいいだろ」

カガリは机の引出しから水色の短冊を取り出し渡す。
暫くの間、白紙の短冊を眺めていたアウルだったが、徐に半分に破って近くのゴミ箱に捨てた。

「ッ!オイ、捨ててどうするんだよ」
「僕、願い事は自分の力で叶える主義なんだ」
「叶えるって…」
「そんな訳で、僕とイチャイチャして、僕とラブラブして、僕とチューして、僕と…」
「ッ//…解ったから……仕事の邪魔するな//」
「…終わったら、叶えてくれる?」
「………………七夕だからな//」
「じゃあ…もう一つだけ願い事」
「ん、なんだ?」
「七夕じゃなくても、僕の願い事を叶えて」




当日に書き上げた代物です
初七夕作品★

2011.7.7










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