黒き執事

選ばれたお嬢様だけが通える特別な学院がある。
そこに通うアスハグループの超お嬢様カガリ。
超お嬢様であるカガリには最高級執事アスラン・ザラが仕えている。
そんなカガリは学院に通う全てのお嬢様方に、羨望の眼差しで見られていた。
しかし、カガリは誰にでもいい顔をするザラが気に食わない。

「ザラ様。此処が解らないのです。教えて下さいませんか」
「私も解りませんの。教えて下さいませ」
「お嬢様方、簡単に教えてもらってはいけません。ご自分でお考え遊ばせ。それが勉学というものです」

二人のお嬢様に言い寄られても容易く窘める執事ザラ。
その姿、振る舞いにお嬢様達はたちまちメロメロとなる。
後ろからそれを見ていたカガリは瞬く間に膨れっ面になり、不貞腐れた感じで絢爛豪華な校舎を一人で出て行く。

カガリが向かったのは校舎から少し離れた場所。
目の前には綺麗に手入れされた芝生が広がる。
勢いよく大の字に寝転がる。

「なんだよ、アイツ……私の執事なのに、皆に愛想振り撒きやがって……」

空に向かって愚痴るが、答えなど返ってくる訳もなく言葉は彼方に飲み込まれた。
時間的にも暖かな陽だまりが降り注ぎ、心地良い温もりはカガリをそのまま夢の中へと旅立たせた。



気持ちよく寝ているカガリを起こす人物がいる。

「起きて下さい。カガリ様……カガリ様……」

呼ばれて目を開けたカガリの視界に飛び込んで来たのは、鮮やかな緑だった。

「ふぁ……」

まだ朧気なカガリはぼうっとその緑色を見詰める。
けれど、睡魔の方が勝ったカガリはまた目を閉じてしまう。
深い眠りに誘われそうになるカガリに、突如、浮遊感に襲われる。

「ふにゃぁ……」
「いけませんね。このような所で寝てしまうとは……」

耳元で囁かれ、くすぐったさと聞き慣れた声に漸く目を覚ます。

「……ザラ?」
「はい、そうでございます」
「……何か……よう……なのか?」

まだ寝ぼけているカガリはうつらうつらしながらザラに問う。

「カガリ様が転た寝なさっておられるので、お部屋に運ぼうと考えた所存でございます」

優しく声をかけるザラの姿に、カガリは先程二人のお嬢様に言い寄られていた光景が蘇る。

「……どこで寝ようが私の勝手だ。おまえに指図される筋合いはない!」

不愉快な気分を思い出したカガリは悪態を吐く。
カガリは何とかザラの腕から逃れようと暴れるが、最高級執事の称号を持つザラはカガリをしっかりと抱えており落とすという失態を犯すはずもない。

「暴れないで下さいませ」
「煩い!離せよ!この馬鹿執事!!」
「この私をどんなに蔑んで下さっても構いませんが……お嬢様とあろう者が芝生の上で転た寝するのは……頂けませんね」

目を細めて微笑を浮かべるザラの姿に、カガリの血の気は瞬時に引いていく。
嫌でも、この後の展開をカガリは容易に想像出来た。

「……あっ……それは……」

途端、しどろもどろになりビクビクと体を震わすカガリ。

「こんな時どうなるか……カガリ様はご存知ですよね」

極上の笑みでカガリを見下ろすザラ。

「ザラ!お願い!もう、こんな事しないから……許して……」

涙を浮かべて懇願するカガリ。

「カガリ様……おねだりの仕方は教えたでしょう」

黒い笑みを浮かべて艶やかに囁く。
最早、逃れられない事を悟ったカガリは覚悟を決めて言葉を紡ぐ。

「…ザラ…お仕置は…………優しくして」

頬を淡く染めながら上目使いでザラにねだるカガリ。
描いた通りの展開にザラはこの上もない程の喜びを覚える。

「カガリ様の仰せのままに」




10000hit記念
リクエストアンケート3位の
アスカガです♪

因みに裏設定として執事ザラは
お仕置の権限があったりします☆
リクエストでアスランが
カガリの執事話との事だったので
こんな感じになりました
パロった作品が
解りましたでしょうか?
タイトルが完全にパロってます!
あの台詞を聞いた時
これは絶対に使えると
思いました★

2009.3.4
2010.12.1移転










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