Dearka's2011

「フフ〜ン♪」

楽しげに鼻歌交じりでとあるモノを並べていく。
色とりどりというより形様々という言葉が一番当て嵌まる。

「楽しそうだな」

そこへ現れたカガリは不思議な顔でディアッカの背中を見る。

「あ〜、姫さん、いい所に」
「ん?」
「この中で、どれが好き?」

言われてディアッカの横から見てるモノを覗き込めば、カガリは目が点になる。
床に並べられているのは、メイド服等のコスプレの衣装だった。

「…何、コレ…」
「何って見ての通り。コスプレの衣装?」
「そんなの見れば解る」
「じゃあ何?」
「コレをどうするつもりかって聞いてるんだけど…」
「そりゃ、姫さんに着てもら…」
「ヤダ!!」
「はい?」
「ぜーーーったい着ないからなっ!!」
「えーっ!!そりゃないぜ!!せっかく買ってきたのに!!」
「おまえが勝手に買ってきたんだろ!!知るかっ!!」

フンと言って顔を背けるカガリ。
一方のディアッカは並んでるコスプレを一つを手にとる。

「コレ、絶対似合うと思うんだけど…」

持っているのは白と黒のコントラストが際立つメイド服。
フリルが多くあしらわれたスカートの丈は異常に短く、ヘッドドレスと黒のガーターベルトとニーソックスがセットになっている。

「似合わない!!」
「そんな事ないって、姫さん金髪だから黒が超映えるって!」
「スカートは短いし、なんだよ、そのストッキングみたいなの。そういうの私は嫌いなんだ!!」
「これはニーソックスだよ。これによって絶対領域が作られるんじゃんか」
「知ったことか!バカ!!」
「バカって酷いな。今日は俺の誕生日なんだぜ。お祝いとして着てくれてもいいじゃん」
「お祝いとそれは別だ!!」
「えーっ!俺、コレ着て言って欲しい言葉があんだけど…」

もの欲しげに見てくる姿に、ろくな事を考えていないとカガリは感じとったが一応聞いてみる。

「……なんて言って欲しいんだよ」
「そりゃ…“ご主人様のおちんちんが欲しいです”なんて…イデッ!!」

言い終わると同時にカガリはディアッカの足を容赦なく踏み付けた。

「痛いんだけど…」
「おまえがバカな事ばっかり言ってるからだろ!!」
「はぁ……仕方ない諦めるわ」

意外にもあっさり折れた事にカガリは驚く。

「メイド服は諦める」
「へっ?」
「んじゃあ、コレ」

次に目の前へ出されたパステルピンクのナース服。
此方にもガーターベルトとニーソックスがついている。
色は服とお揃いのパステルピンク。
笑顔で差し出すディアッカにカガリは何も言えず、ただ呆れる。

「姫さんがナースで、俺が白衣を着て医者役すっから…“先生、お注射して”ってねだる…ギャッ!!」

今度は足の脛を蹴る。

「…ダメ?」
「ダメッ!!」
「ちぇっ……じゃ、コレは?」

次、手にしたのは。
セーラー服。

「これさ、悩んだんだよね、体操服と…でも、王道はコッチかなと思って…」
「……」
「台詞は…“先生、性教育を実践して下さい”かな…ぐえっ!!」

有無を言わせず腹をグーで殴った。
ディアッカは苦しげに腹を擦る。

「容赦ないな、姫さんは……んー、じゃあ、これは?」

それは耳が特徴的な衣装。
お尻には可愛いフサフサの尻尾が付いている。
所謂バニーガールの格好一式。

「セクシーうさぎちゃん♪…“私を飼って”言われたら、毎日、やらしい世話してあげちゃう……イダダダッ!!ひ、捻っちゃダメダメ!!」

手の甲を思いっ切り捻られたディアッカ。
カガリの機嫌は下がる一方だった。

「もう、これもダメなわけ?…仕方ない、ここは思い切ってコレにしちゃう?」

白い布切れ。
表現するとこんな感じ。
フリルは沢山付いているが、服と呼べるモノではない。

「裸エプロンは正に男の夢♪…台詞は超簡単、“た・べ・て♪”…なんて言われたら、俺、壊れるくらい食べちゃうかもっ……ギャーッ!!グーで顔を殴ろうとしないで!!」

完全にファイティングポーズをとっているカガリ。
何とか宥めるディアッカ。
裸エプロンを却下する事でカガリの怒りは収まる。

「はぁ……妥協して、これで手を打つわ…」
「まだ、諦めないのか」
「当り前でしょ。今日は俺の誕生日だぜ。コスプレしてもらうチャンスなんてないっしょ」

意気込むディアッカ。
その不屈の精神を違う所に使って欲しいとカガリはしみじみ思う。

「コレ、どう?」

手渡されたのは深紅のチャイナ服。
長いスリットはあるが露出はあまり多くない。
とはいえ今まで展開から何かいかがわしい台詞を言わされるかもしれない。
訝しい目でディアッカを見るカガリ。

「そんな厳しい目で見ないでくれる?」
「おまえの言動が悪いんだろ」
「俺の願望を言ったまでなのに」
「私の願望はどこにも入ってない」
「俺の誕生日だからいいの」
「……」
「台詞は簡単。カタコトで喋って語尾にアルってつけるだけ」

今までに比べれば至極正面な設定にホッとするが、何か裏があるのではないかと未だ警戒心を剥き出している。

「いつから姫さんはそんなに疑り深くなったの?」
「…おまえのせいだ」
「えー、俺のせい?」
「そうだ」
「じゃあ、コレ、着てくれないの?」
「…着たくない」
「俺の誕生日なのに?」
「プレゼントなら別に用意してあるから」
「ヤダ、俺はコレを着て欲しいの。そんな無茶な要望してないつもりだけど?」
「……」
「ねぇ、姫さん」
「……」
「俺が好きなら…お願い、き・い・て♪」

耳元で飛切り甘く囁く。
息が掛かってカガリの体はビクリと震える。
ディアッカは滑らかな頬に唇を落として聞きたい答えを促す。

「……解ったよ。着ればいいんだろ」
「うー、姫さん、愛してる♪」
「調子いいんだよ、おまえ!!」

最終的にカガリが折れて言い合いは終わった。



あれから少して、目の前には艶やかなチャイナカガリがいる。

「姫さん、超イイ!!お団子頭も超似合ってる。サイコー!!」

ハイテンションでディアッカは愛らしいカガリの姿を収めていく。
持っているのは最新鋭のハンディカメラ。
写真と違って動いている姿が残るかと思えば、カガリは恥ずかしくて堪らない。

「撮るなんて聞いてないぞ!!」
「何言っちゃってんの。コレを保存しないで何をこのカメラに収めんのさ……ああ、いいよ、その怒った顔も可愛い♪」

何を言っても、どんな態度をとっても、全くへこたれないディアッカにカガリは大きく溜息を吐く。
諦めるという言葉しか思いつかなかった。
一通り、カガリの映像を収めたディアッカはカガリの手を引いてソファへと連れて行く。

「姫さん、座って」

抵抗した所で逃げれない事は承知済みなので大人しくソファに腰掛ける。

「座ってる姫さんも可愛いけど、ちょーっと足出してもらえないかな」

ようは長いスリットから足を晒せという意味。

「ヤダ!!」
「そんな事言わないで。チラリズムこそコスプレの真骨頂なんだから」
「ヤダ!!撮るの解ってて、誰がするか!!」
「ふーん、そう…」

ディアッカは徐にカガリの横へ腰掛けた。
カガリは必然と身構える。

「どーしても、撮らしてくれない?」
「恥ずかしいから、ヤなんだ//」

頬をリンゴのように染めてカガリは訴える。

「そっか……俺、無理強いすんの好きじゃないし……ここは大人しく諦めるわ」

ニッコリと笑ってカメラをソファに置く。
やけに聞分けのいいディアッカにカガリの心は不安にかられる。
先程から、ヤダヤダと否定ばかりしている自身に呆れて
嫌われたんじゃないのかと。
そもそも、チャイナ服はディアッカ的にかなり妥協しているのだから。

「あっ、あのな。恥ずかしいから、ヤダって言ってるけど……おまえの事…嫌いな訳じゃ……」

面と向かって言えないカガリは俯いたままボソボソと呟いている最中、急に浮遊感に見舞われる。

「へっ?」

驚いて顔を上げれば間近にディアッカの顔があった。
不機嫌さなどどこにもなく柔和な笑みを称えている。

「ホントはさ、もうちょっと姫さんの可愛い姿を撮っておきたかったんだけど…ヤダって言われちゃ仕方ないし…それに……これはオードブルだしね」
「オードブル?」
「そう。これからメーンディッシュ!!」

ディアッカはカガリを抱き上げたまま奥へ歩いていく。
この後の展開を逸早く読み取ったカガリは声を荒げる。

「ちょっ!!ちょっと待て!!」
「ん、なぁに?」
「おまえっ!!何、するつもりだよ!!」
「そりゃ美味しく頂くつもりだけど」
「ヤダッ!!」
「……本当に?」
「えっ?」
「本当に俺に食べられるの嫌?」

カガリの耳朶を甘噛みしながら、舌で耳を愛撫していく。

「んゃ//……やぁっ//」
「本当に嫌なら止めるけど……どうする?」

顔中にキスを送ってディアッカは欲しい答えをカガリに促す。
唸り声を上げながらも、なかなか思い通りの言葉をくれないカガリにディアッカは急かすことはしない。
ある意味我慢比べみたいな状態。
と言っても折れるのは大概カガリの方である。

「…………せっかく誕生日プレゼントもケーキも用意したのに…」
「ちゃんとプレゼントもケーキも後で頂くから、今日は俺が一番欲しいモノを頂戴♪」
「…勝手にすればいいだろ。それからもう二度とプレゼントなんて用意してやらないからな!!」

プイと顔を逸らしてカガリは拗ねる。
ディアッカは頬にリップ音と共にキスを送り、耳元で痺れる声色で囁く。

「俺は姫さんがいれば何にも要らないよ」

耳まで真っ赤にして振り向いたカガリに流れる様な仕草で柔らかな唇に吸い付く。
拒否される事なく受け入れられ、まるでねだるかのように首に手を回された。
一通り口付けを堪能すれば笑顔で見詰め合う。
そこでディアッカは意味深な笑いを浮かべる。

「今日はいい誕生日になりそう」
「ん?」
「だって、一杯お仕置出来るから♪」
「はぁ?」

言っている意味が解らず、カガリは小首を傾げる。

「姫さんさ、一度も俺の要望を叶えてくれなかっただろ」
「なっ、何の事だよ」
「チャイナ服着たら、カタコトで語尾にアルって言って欲しいって言ったよね」
「あっ!!」

言われて思い出すカガリ。

「俺としては無茶な事は頼んでないつもりだけど?」
「わっ、忘れてただけで…その…」
「そんなに怖がらなくても、大丈夫…やらしくおねだりしたら、優しくしてあげるから」
「うっ//……」
「あれ?おねだりするのヤなの?」
「…ャダ…」
「そう。それじゃお仕置は激しいヤツね」
「それもヤダッ!!」

楽しい思い出はカメラとカガリの体に刻まれる事になった。


Happy birthday Dearka!!



誕生日おめでとうディアッカ!

明るいエロを目指しました★

2011.3.29










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