約束E

次の日。
イザークは会社に遅れて出社した。

「遅刻して、申し訳ありません」

出張から帰ってきた課長に平謝りする。

「おお、ジュール君。大丈夫なのか?風邪と聞いたが…昨日も調子が悪かったんだろ」
「えっ…ああ、はい。病院に寄ってから来ましたので、もう大丈夫です」
「風邪なら休んでくれてもよかったんだよ。君に倒れられた方が会社にとって損害だからね」

出張で成果をあげた課長はニコニコしながら答えた。



「ディアッカ、言い訳を考えてくれて悪かったな」

イザークは自分のデスクに戻ると真横にいるディアッカに声を掛ける。

「気にするなよ。それよか、姫さんは無事に帰ったわけ?」
「ああ、帰ったよ。朝から大変だった。飛行機のチケットは取らないといけないし、空港まで送らないといけないし…はぁ」

朝、慌ただしくカガリをオーブへ送り返した事を思い返し溜息を吐く。

「ふ〜ん、その割には顔が緩んでるけど〜」
「…そんな事はない」
「まぁ、いいや。それで昨日どうした?」
「何がだ?」
「だって両思いだったんだろ。今度こそ、ヤっちゃった?」
「ふっ、ふざけるなー!!」

力の限りデスクを叩きつけてイザークは立ち上がった。
何事かと周りの視線が一気に集まる。

「あっ、いや、何でもありません」

慌てて席につき、素知らぬ顔してパソコンに向かう。

「で、教えろよ。ヤったんだろ?」

今だ横から小声で下劣な物言いをするディアッカ。
イザークは完全無視を決め込む。
それでもめげずに聞き出そうと試みるが、その程度で心揺らぐイザークではなく軽快にキーボードを叩く。

「はぁ…ちょっと、ぐらい教えてくれてもいいのに〜」
「煩い!早く、仕事しろ!!」
「へ〜い…でも、まぁ…キスぐらいはしたよな」

ディアッカの何気ない言葉にイザークの手が一瞬だけ止まった。
勿論、目敏いディアッカは見逃さなかった。
満面の笑みをイザークに向けると、ディアッカは社内に聞こえるような大声で叫んだ。

「皆さ〜ん!聞いて下さ〜い!!イザークに彼女が出来ました〜!!拍手〜!!」

行動の余り早さにイザークは呆然とする。ディアッカの一言で社内全員から拍手が送られ、イザークは恥ずかしさと嬉しさが入り交じった複雑な感情に陥るが、どちらかというと嬉しさの方が勝っていた。




何とか終われました
本当は、もっと短い話を
想像していたのですが…
終わってみれば
歴代最高のページ数に
なってしまいました☆
最後までおつきあい下さい
有り難うございます★

2010.5.4
2010.10.29移転










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