Christmas2010

「えー、堅苦しい挨拶は抜きにして、今宵は聖なる夜、楽しく過ごして欲しい。Merry Christmas!」

カガリの掛け声と共に、ホールにいた全員が同じ祝いの言葉を踊らせる。
アスハ邸で開かれているクリスマスパーティは、忘年会も兼ねておりそれは盛大に行われていた。
色とりどりに飾られたクリスマスツリー。
豪勢な料理はこの日の為に用意された。
それに目もくれずカガリは、目当ての人物を探すが見当らない。
動く度に声を掛けられ笑顔で返しながらすり抜けていく。
しかし、肝心の人物は未だ見つからなかった。
壁に凭れて一息を吐く。
あまり好きではないドレス姿というのも、動きを鈍くさせた。
何気無く窓の外を覗けば、夜の闇に淡い金色が風に棚引いている。
やっと、見つけた人物の後ろ姿にカガリは顔を綻ばせる。
窓を押し開けて、佇んでいる彼、レイの元へ。



「こんな所にいた。探しただろ」

冷たい夜風に晒されながらも近付いて行く。
声を掛けられて、レイは漸くカガリを見る。

「カガリ…」
「寒くないか?いくらオーブが南国と言えども、夜は冷えるぞ」
「ああ、とても寒そうだ」

カガリは真紅のローブデコルテを身に纏っていた。
むき出しの肩は寒さに少し震わす。
それに気付いたレイは自らが着ていたジャケットをカガリの肩に羽織らす。

「あっ……ありがとう//」

掛けられたジャケットを持ちながらはにかむ。
レイも笑みで返す。

「掛けてもらって悪いんだけど…」
「ん?」
「レイは寒くないのか?」
「俺?フッ、俺は大丈夫だ。そんなに柔じゃない」

得意気に笑う。

「私だって、柔じゃないぞ」

張り合うつもりなのか、握り拳を作ってアピールする。
その姿にレイは可笑しそうに笑った。

「何で笑うんだよ」
「肩を震わしていたとは思えない台詞だと思って…」
「そっ、それは…服に問題があってだな…体力には自信があるんだ」
「服に問題があるのか?」
「そうだ!!」
「そうか…でも、そのドレスよく似合ってる」

不意に褒められて頬に熱が帯びる。
それに伴って全身がほんのりと色付く。

「あっ…ありがとう//」

先程と寸分変わらぬ言葉で礼を言う。
違うのは照れて真っ赤になっている所だけ。
そんな二人に緩やかな風が流れる。
鮮やかな金糸は横に揺れて赤く色付いている頬に纏りつく。
手を伸ばして跳ねっ気の髪を払って、そのまま、手を添える。
外の空気に触れていた頬は少し冷たかった。

「レイ?」
「…どうしてカガリは俺と一緒にいるんだ?」
「えっ?」
「俺はクローンでトロメアも短く、長くは生きられない。だから、カガリには俺なんかより、もっとふさわしい相手が…」

乾いた音が響くと同時にジャケットが落ちた。
レイの頬をカガリが両手で叩いたから、そして、そのまま手を置いたまま透き通った琥珀の瞳が、冷たげな青玉を射貫く。

「俺なんかとか、言うな!!」
「……」
「私はおまえが…レイが好きだから一緒にいるんだ」
「……カガリ」
「それだけじゃ、ダメか?」

少し困った顔で見上げてくる。
否定の意を軽く、首を振って表す。
今度は青の光が、橙の光の中へ入り込む。
ゆっくりと顔を下降させて、肩口に置く。
跳ねている髪が、レイの頬を掠った。
細く括れた腰に両手を巻き付かせる、力のある限り抱き寄せる。

「ダメじゃない…ダメじゃ…ない」
「……レッ…イッ…」
「ん?」
「くるしい……」

苦しそうにしてるカガリの姿に、レイは慌てて体を離す。

「すまない……」
「ん…苦しかったけど…嫌じゃないぞ//」
「じゃあ、もう一度抱き締めてもいいか?」
「っ!!//そんなこと聞くなよ。恥ずかしいだろ//」
「…抱き締めたらダメなのか?」
「ダッ…ダメじゃ…ない」

自らが発した同じ言葉を、真っ赤になって言うカガリにレイは笑顔になる。

「じゃあ、いいのか?」
「ああ、もう!!//おまえの好きにしろ//」
「フッ、好きにする」

目が眩む程、美しく笑って愛しい存在をレイは優しく抱き締めた。
互いに温もり確かめ合う。
そんな中、レイが顔を上げる。

「忘れてた…」
「ん、何を?」
「カガリ……Merry Christmas!」




何とか書き上げました
レイカガのクリスマス話♪
ラブラブな感じが
伝わったら嬉しいです★

では、皆様
Merry Christmas!

2010.12.24










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