Cagalli's2008
午後11時過ぎ。
日付が変わる少し前。
カガリは公務の疲れをお風呂で癒した後、お気に入りの緑色のバスローブを着てベッドの上でまどろみ、そのまま、睡魔に任せて眠ろうとしていた。
いよいよ、意識がなくなろうとしていた時、遠くでドアを叩く音が聞こえた。
「ん?……だれだぁ?」
目をこすりながら、むくりと起き上がる。
けれど、覚醒より睡魔の方が強かった為、聞こえないふりしてやり過ごそうかと頭の角で考えていた。
再び、叩く音が室内に響く。
仕方なく、カガリはおぼつかない足でドアへと向かう。
「はい、誰だ?」
ゆっくりとドアを開ける。
そこにいたのは、アスランだった。
「よかった、まだ、寝てなかったんだな」
「…まだ、寝てないけど、もう、寝る予定だ」
カガリは少し不機嫌そうな顔でアスランを見上げる。
「で、…何の用だ?」
「……部屋に入ってもいいか?」
アスランは困ったような感じをしながらも、カガリが決して断れない顔する。
「はぁ…手短にな」
軽く溜息を吐きつつも、カガリはアスランを自室に招き入れた。
部屋に入ったアスランは、所在なさげで挙動不審な態度をとっている。
「用があるんじゃないのか」
かなり睡魔に襲われているカガリは、閉めたドアにもたれながら少し冷たい態度をとる。
「…今日、カガリの誕生日だっただろ。だから、二人きりで祝いたくて…」
頬を染めて、乙女な感じでアスランは言った。
「なんだよ、もう散々祝って貰ったから充分だぞ」
カガリは照れながら、アスランに近付く。
「朝一番に私を迎えに来て、誰よりも最初におまえにおめでとうって祝ってもらったし、昼は皆に誕生会をしてもらって、私は幸せ者だぞ」
「でも、俺はプレゼント渡してない…」
「いいんだ。私はアスランが居てくれるだけで嬉しいよ」
たおやかに笑うと、カガリはアスランの服の腕の裾を掴んだ。
カガリの仕草に、アスランは堪らず抱き締めた。
「カガリッ!!」
「アスラン…」
暫くの間、二人は抱き締め合ていた。
「カガリ…」
「ん?」
「実は今日、一日中、カガリに渡すプレゼントを考えていてやっと決まった」
カガリは目を丸くして、じっとアスランの目を見詰める。
「受け取ってくれるか?」
「…うん…」
カガリは恥ずかしそうに頷いた。
「少しの間、後ろを向いててくれないか」
アスランはカガリから少し距離をとった。
言われた事に従ってカガリは、アスランに背を向ける。
カガリは考えていた。
アスランからの誕生日プレゼントの事を。
『なんだろ?指輪は一度貰ったし…今は嵌めてないけど…もしかして、今度は…婚約指輪とか//……ハッ、何考えているんだ、私は!アスランのからのプレゼントなら何だって嬉しいんだから//……』
そこまで考えて恥ずかしさのあまりカガリは、頬を真っ赤にして首を振りまくった。
「カガリ、こっちに向いてくれないか」
「うん!」
アスランの言葉にカガリは勢いよく振り返った。
そこにいたのは……
一糸纏わぬアスランだった。
「なっ//何やってんだよ!おまえ!!」
カガリは両手で顔を覆い直視しないようにして、アスランを怒鳴りつけた。
「これが、今日一日中考えた誕生日プレゼント。そう、俺自身がプレゼントだ!受け取ってくれ!!」
「はぁ!?」
アスランの言葉が全く理解出来ないカガリは、素頓狂な声を出す。
一方のアスランは至って真面目で、むしろ、笑みを浮かべている。
因みに、首にはちゃっかり赤いリボンが巻かれていた。
その姿まま近付くアスラン。
「わー!来るなよ!あっち行け、バカッ!!」
カガリは堪らず逃げようとした。
が、一瞬でアスランに捕まり横抱きされる。
「こらー!離せ!降ろせっ!!」
ジタバタと暴れるカガリ。
本気の抵抗も虚しく、真っ裸のアスランにベッドまで運ばれそのまま優しく降ろされる。
更に覆い被られ逃げ場が全く無くなった。
「ちょっ!ちょっと待て!こういうのってないんじゃないか!?」
これから起こりうる事に対して何とか無かった方向にもっていきたいカガリは、瞳を潤ましてアスランに懇願する。
「…俺、バカだから…」
そこにあったのは目も眩むようなアスランの端正な微笑み。
滅多に笑わないアスランの笑顔につい見とれてしまったカガリは、いつの間にか唇を奪われ言葉を封じられていた。
長く、そして愛の籠った口付けの後、アスランは心底楽しげに言う。
「知ってるか?なまものは、返品不可なんだ」
『Halloween2007』以来の登場!
真っ裸アスラン(笑)
どうも、真面目な話を書くと
どうしても対照的な話を
書きたくなるんです
コメディーな話になると
アスランは間違いなく
こんな感じになります
諦めて下さい(笑)
2008.5.18
2010.11.25移転