キラカガ編

「キラ!受け取ってくれ!」

そう言って手渡されたのは、可愛らしいラッピングされたハート型のプレゼント。

「これって…」

キラはまじまじとプレゼントを見詰める。

「バレンタインチョコレートだ♪」
「僕にくれるんだね。有り難う」

キラは笑顔で返すと、ラッピングを外す。
現れたのは歪なハート型チョコレート。

「個性的なチョコだね」
「うう、どうせ、変な形だと思ってんだろ」
「そう?形はどうあれ、愛は詰まってるんでしょ」

あまりにもはっきりとした物言いにカガリは真っ赤になる。

「なっ//」
「えっ?このチョコ、愛詰まってないの?」

がっかりした顔で、カガリの目を見詰める。

「あっ…うっ……愛は…ある…」

最後の方は聞こえないくらいの小声だった。
カガリの言葉をしっかりと聞いたキラは満面の笑みでチョコを割って一欠片を口に入れる。



口に拡がったのは……
言葉には言い現せない味だった。チョコを食べた後、全く反応を示さないキラにカガリの顔は蒼白になる。

「あぅ……もしかして…美味しくなかったのか?」

今にも泣きだしそうな顔でキラを覗き込む。

「…ん?そんな事ないよ。とってもおいしいよ」

ゆっくりと顔あげてキラは微笑む。
キラの顔にほっと安堵の笑みを浮かべるカガリ。
キラは少し首を傾けると、にっこりとカガリに笑いかける。

「カガリも食べる?」
「……うん」

思わぬ提案にカガリは驚くが素直に頷いた。
カガリの答えにキラはチョコを一口大に割る。
キラはカガリに近付いて、チョコの欠片をカガリの口に持っていく。
カガリはそれを食べさせてくれるものだと思いじっと待つ。
しかし、その欠片はキラの口に入ってしまった。

「あっ!?」

てっきり、自分に食べさせてくれると思っていたカガリはポヤッっとした顔でキラを見詰める。
そんなカガリに伸ばされた綺麗な手。
それは、あっという間にカガリを引き寄せた。

「んっ!」

引き寄せられたと思えばカガリの唇はキラのそれに塞がれた。
半開きになっていた口からキラの舌が入り込み、同時にチョコもカガリの口内に入る。

「んん〜っ!?」

舌から伝わるチョコの味にカガリは身悶える。
あまりの味にカガリはキラから離れようとするが、キラの手はがっちりと体を捕まえていて離れられない。
口内にあったチョコは舌の熱さで溶けて無くなり、キラの舌はカガリの口内にねっとりと堪能していく。

とは言え、チョコの後味の悪さ酷く、カガリはどうにかしたくて全身を使って暴れる。
暴れだしたカガリを制御出来なくなったのか、それとも、カガリの口内を堪能しきったのか、キラは漸くカガリを開放した。

「んっ、はぁ…はぁ…」

息苦しさも手伝って、カガリの艶やかな吐息を吐く。

「ねっ、おいしかったでしょ」

一方のキラは爽やかな顔が笑う。
キラの言葉にカガリはキッと睨みつける。

「どこがだよ!全然、おいしくないじゃないか!!」

思いのままに怒鳴りつけたと思えば、再び、口内にチョコの味が襲ってきたのかカガリは身悶える。

「あ〜!……水……水をくれ〜!!」
「仕方ないな、もう」

キラは意味ありげに笑うと水を取りに行った。
戻ってきたキラの手には硝子のコップ。
なみなみに入れられた水。
カガリは目の色を変えてそれを凝視する。
持ってこられた水はカガリの前で、キラの口に運ばれる。
カガリは黙ってそれを見ていた。
持ってきた本人であるキラが先に飲むのは当然の権利だと思っていたからだ。
キラは水を口に含むと怪しく笑って、カガリの手を引いた。

「わぁ!?」

ぼうっとしていたカガリは、驚いたままキラの胸に収められる。
カガリを少し屈ませ見上げる状態にすると、後頭部を抱えて桜色の唇を塞ぐ。
キラはカガリの口を強引に開かせて、含んでいた水を口伝いに移していく。

「んっ……んっ……」

くぐもったカガリの声が響く。
キラから口移しされた水をカガリは嚥下していく。
カガリの口内に水が無くなっても、キラは唇を離さない。自らの舌をカガリの舌に絡ませていく。
それは執拗に。
やがて充分に満足したのか、やっとのことで唇が離される。
二人の間には銀の糸が引いて、カガリは真っ赤になる。

「何するんだよっ!!」
「ん?カガリが水って言うから」

キラに悪びれもせず、笑みを浮かべて応えた。
一方のカガリは完全にふてくされいるが、全く意に介さずキラは声を掛ける。

「ねぇ、カガリ。もう、チョコはいらないの?」
「…いらない……もうチョコも作らない!!」










人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -