御褒美

「はぁ……はぁ……はぁ……」

激しい息切れと滴り落ちる汗。
寝転んでいた体を起こせば、肌を伝った汗の雫が目に入る。
拭おうと手で汗を払うのと同時に、上からフワッと影が落ちる。
頭を覆うのは水色のタオル。
見上げれば、ヒンヤリとした感触が頬を伝う。
当てられているのは冷えたスポーツドリンク。

「くれるの?」
「ああ」

カラカラの喉が潤う。
全てを一気に飲み干していく。
水分をとればそれに呼応するかのように噴き出す汗は、掛けられたタオルで拭かれる。
優しくタオルで脱ぐられるのはとても心地好い。

「気持ちいい……」
「なぁ、もう諦めたら?」

覗き込むオレンジの瞳。

「やぁだ」

ブルーの瞳を細めて、口を尖らせる。
アウルの意固地な態度にカガリは大きくため息をつく。

「カガリの言う通りだ。もう諦めろ」

余裕の顔で言うのは、スティング。
人差し指一本で、器用にバスケットボールを回している。



アウルとスティングは1on1のバスケットゲームをしていた。
勝敗はアウルの全敗。
つまり、一度も勝てていないということ。

「ねぇ」
「ん?」
「御褒美頂戴」
「はあ?」
「ほら、人参を目の前にぶら下げたら馬がよく走るって言うでしょ。だから、僕にも御褒美があれば、頑張れると思うんだよね」

いい事思い付いたと、楽しげにおねだりしてくる。

「…………」

カガリは訝しげにアウルを見詰める。

「スティングに勝ったらでいいからさぁ」
「……解ったよ。で、御褒美って、何だ?」

頂戴と言われたが、具体的に何を欲しがっているのかカガリには解らない。

「ん?そうだな……勝利のチューで♪」
「チュー!?//」
「うん♪いいでしょ?勝ったらなんだから」
「…………勝ったらな」

呆れた感じで承諾の返事をした。
すると、アウルは心底嬉しそうな顔になる。

「ん」

手をカガリの方へ伸ばすアウル。

「?……何?」
「起き上がるのに、手、貸して?」

憎めない顔で言うから、ついつい手を出す。
手を握って引き上げようとしたら、逆に強い力で引っ張れアウルの方に倒れ込む。

「わぁ!?」

ぶつかると思って目を瞑ると、唇に何かが触れ合う。
驚いて目を開けば、してやったりの顔。

「おまっ!!//」
「へへ、先に御褒美貰っちゃった♪」

被っていたタオルを放り投げて、アウルは自らの力で軽やかに立ち上がる。
ゴール下に立っているスティングにビシッと指差す。

「スティーングッ!!御褒美、貰った僕は無敵だからね」




キスをメインにしたお話、第7弾
確信犯アウル♪

2010.12.22










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