花火

大きな音を立てて、夜空に上がるのは大輪の花達。
かぞえきれない程の色が鮮やかに舞う。

「きれい……」

賞賛すべき言葉は他にもある筈だが、今はそれしかカガリの口からは出なかった。

「ああ、そうだな」

少し上から返答がある。
花火から、そちらに目をむければ夜の闇に煌めく金の髪が視界を覆う。
白い肌に瞬く蒼の瞳。
それは刹那の美しさと同じよう。
見惚れていたら、後ろからドンと轟音がなる。
特大の花火が打ち上がった。

「はぁ…きれいだなぁ…」
「ああ、何よりも綺麗だ」

夢中に花火をみているカガリの体は圧迫感に包まれる。

「…レイ?」
「本当に綺麗すぎる」

目を瞑って、抱き締めてくるレイの行動にカガリは疑問を持つ。

「おまえ…花火、見てるか?」
「…花火よりも綺麗なモノが目の前にあるから、見る必要がない」
「…はぁ!?……おまえ、何見てキレイって言ってるんだ?」
「カガリ」

即答するレイ。
けれどその言葉に全く反応出来ないカガリ。

「……へっ?」
「だから、カガリ」
「…………っ!?//……」

2回、名を言われて、漸く意味の気付いたカガリの顔は真っ赤に染まる。

「おまえっ!!よくそんな事、真顔で//」
「本当の事だろ?」
「う〜〜//」

しれっと言い切るレイにカガリの顔はますます赤くなる。
歓声と共にまた、大きな花火が上がる。
カガリはつられてそちらを見ようと、顔を向けるがレイに動きを止められる。
顎に手を置かれ軽く持ち上げると、レイの顔が間近に迫っていた。
流石のカガリでも、行動の意味は解る。

「ちょっ//、ちょっと、待てって//…人がいっぱいいるだろ…」
「みな、花火に夢中だ。誰も見てない」
「…………もうっ//」

観念すれば、そこには同じく花火よりも綺麗な笑顔。




キスをメインにした小話、第4弾
直球勝負のレイ♪

2010.12.3










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