砂糖
詰まれた書類に目を通して、サインをしていく。横顔は真剣そのもの。
仕事をしている時の顔は、凛々しく近付きがたい。
斜め後ろからアスランは、愛しい人を見ながらそう思っていた。
暫くすると、書類を並べて片付ける。
疲れたのか、首を左右に曲げている。
「終わったのか、カガリ?」
「ん?ああ、全部目を通した……ゴメン、こんな時まで仕事して」
申し訳ないのかアスランによく見せる辛そうな顔をする。
「気にする事はない。君はオーブの代表なんだから」
「……ありがとう」
微かに笑う。
でも、本当の笑顔じゃない。
その事はアスランがよく知っている。
「あっ!」
「ん、どうした、アスラン?」
「コーヒー、いれてくるよ。疲れただろ」
「私がいれるよ」
「俺がカガリにいれたいんだ、いいだろ」
「……うん、わかった//」
自分にしか見せないはにかんだ素顔に満足しながら、アスランは部屋をでた。
カガリはイスに深く凭れて天を仰ぐ。
疲れのあまりそのまま、意識を飛ばしそうになる。
すると、いいタイミングでドアが開いてアスランが入ってくる。
「お待たせ、どうぞ」
渡されたコーヒーカップにカガリは口をつける。
「んっ!?」
口の中に広がるのは嫌いな苦い味。
堪らず、口から離すカガリ。
「なっ、何だよ、コレ!!ブラックじゃないか!?」
「そうだよ」
「おまえ、私がブラック飲めないの知ってるだろ!!」
「ああ、知ってる」
「だったらっ!?」
「後で甘いモノ渡そうと思って……」
「どこにあるんだよ。砂糖?それとも、シロップか?」
キョロキョロと辺りを見回すがそれらしいものはない。
「カガリ」
名を呼ばれて顔をあげれば間近にアスランの笑顔があった。
そして、さらに近付いて、柔らかい感触。
キスされていると理解したのは、少し経ってから。
カガリは内心でかなり驚いたが、従順に恋人の口付けを受け入れる。
苦味しかなかった口内に角度を変えて幾度も与えられる甘い感覚。
「どう?砂糖より甘いだろ」
「…………バカ//」
キスをメインにした小話、第2弾
甘々なアスラン♪
2010.12.3