本能
「カガリ」
「んっ?」
呼ばれて振り返れば、キラの顔があった。
二の句を告げようと口を開くが、言葉が出る事はなかった。
「んっ……」
くぐもった声がでる。
それもその筈。
キラに口をふさがれているから。
勿論、唇で。
離れようとキラの体を押すが、びくともしない。
男の割りには華奢な体付きにも拘らず、キラの力は強かった。
さらに、触れていただけの口付けが徐々に深くなる。
強引にねじ込まれた舌は縦横無尽に口内を凌駕する。
小さな舌を捕まえれば、ねっとりと絡み合わされる。
カガリは逃れようと頭を振るが、キラは後頭部を片手で押さえこむ。
もう一方の手で腰を掴む。
完全に逃げられない。
貪るような激しい口付けに、カガリの意識は朦朧となっていく。
足に力が入らず、必然とキラに凭れかかる。
酸欠で全身の力が抜けた頃、漸く唇が解放される。
「はぁっ//……はぁ……」
視界はぼやけて、キラにしがみついていなければカガリは立っていられない。
「なっ……なにするんだよ!」
涙目で見上げる。
カガリはそれほど、息苦しかった。
「キスしたかったから、キスしただけ」
悪びれる事もなく、にこやかな笑顔で言い切る。
「っ!……はぁ…おまえなぁ…」
あきれてものが言えないとはこの事。
カガリは息を整える為に、大きく深呼吸をする。
徐々に平静を取り戻しつつあったが、急に浮遊感にとらわれる。
「えっ!?」
気がつけば、キラに抱えられていた。
「キラ!?」
「ん?」
相変わらずのにこやかな笑顔。
「なっ、何してるんだよ!」
「何って…したくなったから、しようと思って、だからHしよ」
やはり笑顔で言った。
「おっ、おまえ、ふざけるなよ!!」
「ふざけてなんかいないよ。僕は本能のままに生きてるだけなんだ」
キスをメインにした小話、第1弾
本能のままに動くキラ様♪
2010.12.3