権力

プラントのアーモリーワンで行われた非公式の会談は不調に終わった。
カガリは自らの力の無さに情けなくて仕方なかった。

「カガリ、そんなに気を落とすな」

項垂れているカガリをアスランは慰める。

「うん…でも、私がもっとしっかりしていれば」

唇を噛み締めて悔しがる。
廊下で佇む二人に、後ろから一人の人物が近寄る。

「姫、ご気分は如何でしょうか?」

微笑を称えて声をかけるのは、先程までの会談相手プラント最高評議会議長ギルバート・デュランダル。

「議長…気分は余り良くないです。それから、姫と言うのは止めて欲しいと申し上げた筈ですが…」

カガリは今の気持ちを素直にデュランダルに言った。
注意をつけて。
デュランダルはカガリの態度にまた微笑を浮かべる。

「申し訳ありません。ですが、姫という言葉は貴女に相応しい形容詞だと思っているので、つい、呼んでしまうのですよ」

穏やかな笑みを崩さず、カガリを見据える。
デュランダルの強い眼差しに負ける事なく、カガリもデュランダルを見返す。
視線を逸したくなかった。
経歴も実力も明らかに上の存在であるデュランダルに対して、逃げ腰の態度をとりたくなかったからだ。
二人の様子を横から見ていたアスランはどうしていいか解らず、ただ、状況を見守る。

「議長、呼び止めたという事は何か用があるのですか?」

若干の不機嫌オーラを出しつつ、あくまで慎重な言葉を紡ぐ。

「ええ、実は折り入って話がありまして……ご理解が早く感謝します」
「話…先程、会談をした筈ですが?」
「そこでは、上がらなかった議題の事です」

デュランダルは一歩近付き、カガリの耳元に唇を寄せる。

「内密の話なので、二人きりで行いたいのですが……宜しいですか?」
「えっ?」

デュランダルの提案に驚くカガリ。

「駄目ですか?」

傍にいるアスランに、聞こえないような声色でデュランダルは囁く。
カガリは訝しくデュランダルを見上げるが、断る事は逃げを意味しているような気がしていた。

「…解りました。で、どうすればいいのですか?」
「私の後について来て下されば結構です。護衛の彼を置いて…」

デュランダルはカガリの肩越しにアスランを見る。
釣られてカガリもアスランを目に止める。
アスランはコソコソと話し合う二人の姿を不愉快な顔で見ていた。

「アスラン…」

カガリはデュランダルから離れてアスランへ向き直る。

「なんですか?」
「実は、議長と大切な話があるので此所で待ってくれないか?」
「えっ?…代表?」

デュランダルが傍にいる為、呼び捨てではなく敬称を呼ぶアスラン。

「すぐに終わるから、頼む」

目を伏せて懇願するカガリにアスランは立場上も心情的にも拒める訳もなく、頷く事しか出来なかった。
カガリとデュランダルが並んで歩く姿をアスランは独り見送った。



一室に通されたカガリは振り返ろうとした瞬間、後ろから抱き竦められる。

「えっ!?」

カガリは驚きの余り、声を紡げないでいた。

「初めてお会いした時から、貴女が欲しくて仕方ありませんでした」

デュランダルの告白にカガリは血の気が引く。
逃れようともがいても男と女の力の差は歴然でどうにもならない。
デュランダルは力ずくでカガリを奥にあるベッドまで連れて行き押し倒す。
カガリは現状に全身を震わしながら、怯えた瞳で目の前の人物を見上げる。

「そんな顔をなさらないで下さい。欲情を抑えるのに大変です」
「おまえ、最初から…」
「ええ、話などございません。私は貴女の全てが欲しいだけです」
「ふざけるな!!誰が、おまえの思い通りになんか!!」

声を荒げて睨み付ける。
だが、デュランダルは不敵に笑ったまま。

「姫、余り手を焼かせないで下さい。私とて強硬な手段は使いたくないのですよ」
「これの何処が強硬な手段じゃないって言うんだ!!」
「フフ、この程度は穏和なものです。ですが、姫が私に逆らうと言うなら……貴女が置いてきた護衛の安全を保障出来ません」

デュランダルの言葉にカガリは凍りつく。

「姫、私が権力の使い方を一から教えてあげますよ。その、美しい身体にね」




管理人が一番萌えるギルカガを
描いてみました♪
ギル→カガの構図が激萌えです★

2009.4.9
2010.10.29移転










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