キス

「キッ…キスされた」

真っ赤な顔して言った。

「誰に?」

ディアッカは内心ではかなり驚いたが、あくまでも冷静に聞いた。

「…教えている奴だ…」
「えっ?おまえが教えている子って確か…どっかの令嬢だったよな」

記憶を辿りながら言葉にする。

「アスハ家のカガリ嬢だ」

そこまで言って思い出したのか、また、顔を赤くする。

「おまえな、中学生せいじゃあるまいし恥ずかしがるなよ」
「きっ、貴様!おっ、俺にとっては!?」
「初めてだろうが、そうでなかろうが、中学生にキスされて狼狽えんなよ。大学生のイザークさん」

ディアッカに尤もな事を言われてイザークはぐうの音もでなかった。

「アイツは何のつもりで……」

ぶつぶつと下を向いて愚痴るイザーク。
余りの狼狽っぷりにディアッカはおかしくて仕方ない。

「何のつもりって、好きだからに決まってんだろ。それぐらい解れよ」
「しかし、アイツは俺の事を嫌っているんだ!」
「嫌いならキスなんかするかよ。あれだ、嫌い嫌いも好きのうちってやつ」

ディアッカにそう言われて、すんなりと心に響いた。



二日ぶりに訪れるアスハ邸。
イザークの家もそれなりに大きいがアスハ邸はそれ以上だ。
いつものように侍女のマーナさんが迎えてくれた。

「あの、イザーク様」
「はい」
「実はお嬢様の体の具合が宜しくないので今日はお引き取り願えませんか?」
「具合が悪い?」
「そうでございます」

イザークは仕方なく帰ろうと思ったが、ふとある考えよぎった。
仮病じゃないかと。
カガリは素直じゃない事を知らない訳ではない。

「具合が悪いならお見舞いに行かないといけない。家庭教師として」

笑顔で応えて、強引にアスハ邸へと入って行く。

「あっ、お待ち下さい。イザーク様」

マーナは止めるがイザークは無視を決め込む。
勝手知ったるアスハ邸を進むと、目的地に着く。
イザークは躊躇せずドアを開けた。
そこには、制服姿のカガリが立っていた。

「具合が悪いと聞いたが」

厭味っぽく言う。

「勝手に入ってくるなんて失礼だぞ」
「仮病で家庭教師を追い返すのは失礼じゃないのか」
「……」
「貴様が…そんな態度だから、俺は…」

イザークは一気に距離を縮めて、カガリを抱き締める。

「なっ//」

カガリはイザークの胸の中で真っ赤になる。

「嫌われていると思うだろ!普通!」
「先生…」

見上げた橙の瞳に蒼の瞳が交差する。
引力が働くかのように唇は重なった。

「貴様が言わない限り、俺も何も言わないからな」

イザークはもう一度口付ける。
言葉ではなく態度で示す為に。




かなり省いたので
話が伝わったか不安です
でも
書きたい事は書けたと思います!
若干、カガイザ風味かも♪

2008.9.14
2010.10.29移転










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