楽園

縛られた両手はどんなにもがいても外れない。
動かせば動かす程、手首に食い込み痛みが拡がるだけ。

「無駄だよ、カガリ。それ、力じゃ切れないから」

言われたカガリは目尻を吊り上げて睨み付ける。

「キラ!何の冗談だよ!!」
「冗談?まさか。僕は本気だよ」

今、キラはカガリの上に跨がっている。
しかも、カガリはベッドに両手を縛りつけられている。
勿論、そうしたのはキラ。

「本気って……」

カガリの琥珀色の瞳は弱々しく揺らめく。
動揺を感じとったキラはゆっくりと顔を近付ける。
唇が触れないぎりぎりの所で止めた。
呼吸をする度に息が互いにかかる。

「そのままの意味だよ」

濁りのない紫水晶を細めて笑う。
カガリを優しく見詰めたまま、そっと軍服に手を伸ばす。
それに、気付いたカガリは必死に抵抗する。

「キラ!止めろって!!」
「どうして?」
「どうしてって、そんなの解るだろ!」

キラは手を止めて、カガリの顔の両側に手を置き覗きこむ。

「僕はね、全てを理解してるよ。その結果が今の状況なんだ」

カガリの頬を優しく、そして愛おしく撫でる。

「だって、カガリはあんな形だけの婚約者と結婚しようとしたんだよ」

カガリは何も言えなくなって、キラから目を逸す。
けれど、キラはそれを許さない。
顎を掴んで視線を合わさせる。

「だったら、僕が我慢する事なんてないでしょ。僕はカガリを誰よりも愛しているんだから」

キラはきつくカガリを抱き締める。
息が出来なくなる程に。

「ねぇ、カガリ。僕と一緒に堕ちよう。君となら地獄の底でも楽園だよ」




いきなりとんでもないものを
書いてしまいました(汗)
黒キラ様降臨です!
キラ様は黒い方が好きですね♪

2008.9.5
2010.10.29移転










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