Gilbert's2011

オーブ連合首長国代表首長
カガリ・ユラ・アスハ逝去。



衝撃的なニュースは全宇宙を駆け巡った。
彼女を知る者はその死を痛み悲しみにくれた。



「俺が側にいながら……守れなかった」

彼女の為に立てられた真新しい慰霊碑の前でアスランは崩れ落ち涙を流す。
そこにかつてZAFTのエースパイロットだった姿はない。

「俺がっ…俺が死ねばよかったんだっ!!」

バァンと堅い慰霊碑を何度も叩きつける。
アスランの手は赤く腫れるがそれでも叩き続ける。
どこにも昇華出来ない思いをぶつけるように。
その手を2つの異なる手が覆う。
止めさせる為に。

「アスランだけが悪い訳じゃない。僕達も…何も出来なかった」
「自らを傷付けるのは止めて下さい。カガリさんも望んではいません」

キラとラクスの言葉にアスランは漸く顔を上げる。
目は赤く腫れ上がり、普段、男前と称される面影は全くない。
朧気な視線は空へ向かう。
気持ちを表すような太陽の失った灰色一色の曇天にアスランは咆哮を上げる。
届く事のない愛する人へ。










雲の欠片一つない蒼天。
一面に広がる紺碧の海。
サラサラとした白い砂浜。
大地を照らす輝く太陽。
けれどそれらは全て創られたモノ。
たった1人の為に作られた特別な箱庭。



バシャバシャと。
陶磁器のような足が海辺を走る。
とても無邪気に。

「姫」

呼びかければ足が止まった。
勢いよく振り返る。
その顔は不服でむくれている。

「姫って呼ぶなっていつも言ってるだろ」
「あ、申し訳ありません…つい、ね」
「む〜」
「そんな顔をなさらないで下さい。可愛い顔が台無しですよ」
「なっ//…恥ずかしい事言うなよ//」
「そうですか?本当の事を言っただけなんですけどね」

流れる風に任せれば彼の肩より少し長い黒髪が棚引く。
微笑んで此方へ呼べば少女は笑顔になって裸足で駆け出す。
金の髪を軽やかに揺らして。

「1つ、質問いいですか?」
「ん、なんだ?」
「私の事、好きですか?」
「好きじゃない…」
「えっ!?」
「大好きだ、ぞっ!」

頬を桜色に染めてはにかむ少女に彼は一瞬驚いたが必然と顔が緩む。

「…では、私の事、愛してますか?」
「……//」
「おや?愛してないのですか?」
「あ〜…う〜…」
「私は愛してますよ」
「………………あいしてる…ぞ」

真っ赤になって答えた。
声は小さくか細い。
それでも、彼は聞きとった。
一回り小さな体を抱き寄せて胸に収める。
少女もまた手を精一杯伸ばして抱き付く。
暖かな体温を確かめ合う。
飽きる程。
そっと少女の頭を撫でて顔を上げさせ綺麗な瞳と視線を交わせば、その下にある小さな唇に口づける。
触れ合うだけの。
少女はウットリとしてもう一度と強請るように彼の服を掴む。
彼は優しく笑って再び唇を寄せた。



現在より遡って数ヶ月前。
1年で特別の日に1人の記者はとある人物に独占インタビューをしていた。

「本日、誕生日ですよね。おめでとうございます」
「ああ、そうだったね。忘れていたよ」
「そうなのですか?プレゼントとか渡されなかったんですか?」
「フフ、この年ではプレゼントを貰うような事は中々ないよ」
「まあ、確かに。欲しがるような年齢でもありませんからね…」
「全くだよ。でも、貰えるモノは貰うかもしれないがね」
「そうなんですか?意外です…物欲とか余りないかと勝手に想像していました」
「私とて、只の人。欲は普通に存在するよ」
「では、今、一番欲しいモノはなんですか?」
「そりゃ、宇宙の平和だよ」
「即答ですね」
「あれ、気に入らなかったかな?評議会議長としてパーフェクトな解答だと思ったのだけどね」
「では、議長の立場でないギルバート・デュランダル自身が心から欲しいモノはなんですか?」
「…それを知ってどうするのかな?」
「最高権力者まで上り詰めた人が欲しいモノって何だろうなっていう一個人としての興味です」
「成る程」
「それで、欲しいモノはありますか?…それとも、もう全て手に入れてしまいましたか?」
「…まだ」
「まだ?」
「全てを手に入れてはいない」
「…まだというなら、いずれという意味でしょうか?」
「そう、いずれであり、進行中ともいう」
「それは何ですか?」
「穢れる事も濁る事もないどこまでも透き通った美しいモノ」
「……」
「どうかしたかな?」
「失礼ですがそのようなモノがあるんですか?正直、この世に汚れないモノはないと私は思ってます。無垢な赤ん坊ならともかく、人もモノも年数が経過すれば汚れますし濁ります。美しい状態を維持出来ません。生まれたモノが汚れるのは必然ですよ」
「フフ、君は意外と世の真理を理解しているね」
「これでもジャーナリストの端くれですから」
「そうだね…私も染まらぬモノはないと思っていた。あの日までは…」
「…伺っているとそれは…人のように感じるのですが?」
「フッ、どうとるかは君の自由だよ」
「では、質問を変えます。その欲しいモノに愛は…ありますか?」
「勿論、愛しかない。ただ、歪んでいるかもしれないけどね」


Happy birthday Gilbert!!



誕生日おめでとう、ギルバート!

衝撃の一文から始まりました
ギル誕2011

詳しく説明はしてませんけど
カガリが生きているの
解りましたよね

どんな技を使ったかは
ご想像に任せます

2011.11.19










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