アウカガ編

「ニャリック ニャア ニャリート!」

カガリはドアが開いたと同時に目の前の人物に向かって笑顔で言った。
言われてアウルも同じようにコスプレしていた。

「トリックオアトリートガオ!」

アウルは全身水色の毛皮を纏っている。

「お前もコスプレしてるのにゃ?」
「そうだよ。僕は狼なんだ。カガリは黒猫?」
「そうにゃ」
「ふ〜ん、同じようなコンセプトか…それよりお菓子頂戴」
「うにゃ?私の方が先に言ったにゃ。だから、先にお菓子をよこすにゃ!!」
「あれ、カガリ、お菓子持ってないの?」
「…お菓子をよこすにゃ!!」
「お菓子持ってないなら悪戯してもいいんだよね」
「んな訳あるか、この発情狼!?死ね!!」

アウルの顔間近にバズーカを構え怒り浸透のラクス。
打つのは時間の問題であった。

「ちょっと、待て。こんな所で暴れるな!菓子なら用意してある」

慌てて声で止めに入ったのはスティング。
目印のトサカをシルクハットを被って隠し吸血鬼コスをしている。
その横にはトンガり帽子を被った魔女コスのステラ。

「ケーキ、一杯、フルコース。カガリの為、用意した」
「ホントにゃか!?」
「ああ、5人分あるから食ってけ」

スティングとステラの後ろを追うようにカガリは部屋へと入っていく。
逃げられた事にアウルはふてくされながら追いかける。
ギラリと目を光らせラクスも入っていく。


並べられたケーキの山々にカガリはいそいそとテーブルにつく。
当然の如く隣り座ろうとしたラクスより先にアウルが座る。
勿論、スティングとステラが向かい側に座った。
あぶれたラクスは所謂補助席の位置に追いやられた。
ラクスの顳がビキビキと動いたのは言うまでもない。
仲良くというか一方的にラクスがアウルを睨みつける状況のまま、楽しいパーティーは始まった。
カガリは手当たり次第ケーキを食べまくる。
スティングは優雅に紅茶を飲み、ステラはカガリと同じようにケーキを食い漁る。
アウルはカガリを見ながらケーキを食べ、ラクスはケーキを一切食べずにこのクソ狼の退治方法を考えていた。

「うにゃ〜、食った食ったにゃ♪」
「ふー、もう、食べれない…」

カガリとステラはお腹をポンポンと叩き寛ぐ。
すると、横に座っているアウルが声をかけてくる。

「ねぇ、もうお腹一杯?」
「うにゃ、もう入らないにゃ」
「そう、よかった。じゃあ、僕もお腹一杯にして♪」

言うやいなや座っているカガリに飛びつき、ふにふにと柔らか双丘に頬を擦り付ける。
正に至福の瞬間。

「ゴラァァァッ!!こんのぉ発情クソ狼!!私のカガリさんに抱き付くんじゃねぇっ!!そのふにふにのおっぱいを触ってもいいのは私だけじゃっ!!」

置いていたバズーカを構えにっくきクソ狼に照準を合わせるラクス。

「あれ〜、打っちゃてもいいの?カガリにも当たっちゃうよ〜」

いつの間にやらカガリを立たせ、その背後に回って羽交い締めにしているアウル。
完全にカガリを盾にした挙げ句、後ろから滑らかな素肌を堪能する。
その光景にラクスの体内沸点を通り越し、怒りで全身の血が煮えくり返っていた。
しかし、その手は動かない。
バズーカを打ってこないと確信したアウルはカガリに擦りより全身で肌を味わう。

「んにゃっ!!にゃあっ//」
「カガリの猫語って超可愛いよね。でも、食べたらもっと美味しく可愛い声が聞けると思うんだけど♪」

ベロリとカガリの首筋をアウルは舐めた。

「にゃひゃっ!!」
「ん、やっぱり可愛い!」

ありとあらゆるネジというか留め具というか、所謂箍的なモノがラクスからバラバラと外れていく。
バズーカが使えぬというなら自らの拳で制裁を下すと決意したラクスに種割れが起こる。
狩人の目をしたラクスが不埒な狼を仕留めようと動いた時、それより先に何かが通り過ぎた。
ドゴォォッン!!

「ヒギャアアッ!!」

見事な蹴りを披露したのはステラ。
確実にアウルだけ狙って壁へとぶっ飛ばした。

「まぁ、お見事ですわ。ステラさん」
「カガリ…私の…」
「いえ、私とステラさんのモノですわ」
「…うん、そう」
「それより、後の始末は私に任せて下さいな」

嬉々としてバズーカを構えるラクス。
その顔は天使の笑みを湛えながら邪悪さが漂っている。

「家に穴があくからバズーカは勘弁してくれ」

1人冷静な男、スティングが止めに入る。

「では、この怒りを一体どうやって沈めれば宜しいの?」
「……バズーカ以外…というか、この家に被害が及ばないなら何してもいいと思うぜ。100%アイツが悪いから」
「物分かりの良い方で助かりましたわ。では、遠慮なく……天誅じゃ!このエロ狼!!死ね!死に晒せぇっ!!」

バズーカを両手で持ち鉄の塊という凶器で水色狼をしこたまぶん殴るラクスと、無表情で蹴り続けるステラ。
色んな意味で修羅場である。

「……ふにゃあぁぁ…」

アウルに解放されてホッとしたカガリは気の緩みから大きな欠伸をする。

「どうした?腹一杯になって眠くなったのか?」
「ん…そうにゃ…眠いにゃ」
「そうか…じゃあ、こっちで寝とけ」

スティングはカガリの手をとりリビングにある奥のソファへと連れて行く。
先に座りその膝の上にカガリの頭を乗せて、黒猫耳が付いた金髪を優しく撫でてやる。
物の数分でカガリは夢の中へと旅立つ。
手持ち無沙汰なスティングは取り敢えずテレビを付けてまったりとした時間を楽しむ。
その後、制裁を終えた2人に睨まれたが、カガリが寝ている事もあって何とかスティングは事なきをえた。










「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -