レイカガ編

「ニャリック ニャア ニャリート!」

カガリはドアが開いたと同時に目の前の人物に向かって笑顔で言った。
言われた微動だにせずカガリを凝視する。
こちらを見詰めたまま固まっているレイにカガリは訝しむ。

「お〜い、レイ?」

レイの目の前で手を振り様子を窺う。
甘美な妄想世界に旅立っていたレイは、カガリの言葉に我を取り戻す。

「代表、申し訳ありません。少々、あちらの世界へと旅立っておりました」

レイは深々と頭を下げる。

「うにゃ〜、よく解らにゃいけど、まぁいいにゃ。とりあえず、お菓子くれにゃ」
「お菓子ですね」
「そうにゃ!お菓子くれにゃいと悪戯するにゃ!」

カガリは上目遣いで衣装に合った言葉遣いで微笑む。
レイはカガリの可愛らしさと、動く度に揺れ動く豊満な白い双丘に目を奪われていた。

「あらあら、またあちらの世界へ旅立たれてようですわ」
「さっきも言ってたけど、あちらの世界って何だにゃ?」
「彼にとって現実よりもとても甘美な世界の事ですわ」
「うにゃにゃ、よく解らないにゃ」
「カガリさんには無縁の世界なので解らなくても仕方ありませんわ」
「どうするにゃ。このままじゃ、お菓子貰えないにゃ」
「大丈夫ですわ。呼びかければ、簡単にこちらへ戻ってらっしゃいますわ」

ラクスに言われて半信半疑ながらも声を掛ける。

「レイ!レイってば、聞いてるにゃか!」
「ハッ!すいません。余りにも柔らかそうだったので、あちらの世界で堪能しておりました」
「んにゃ!?」
「あっ、いえ…お菓子でしたね。どうぞ、お上がりください」

通されたリビングにはハロウィンの飾り付けが綺麗に施されていた。

「おおっ、凄いにゃ!!」
「まぁ、ジャックランタンですわね」

置かれたジャックランタンにカガリとラクスは目を奪われる。
その間にレイは台所へと向かった。
カガリのために用意しておいた物を取り出し、リビングへと運ぶ。
既にカガリ達はテーブルへと席についていた。
レイが持ってきた物に目を輝かす。

「うにゃっ!かぼちゃプリンにゃ!!」

両手で皿を持ち、揺らす度にプリンは柔らかく動く。

「凄い!プルプルにゃ!!」

目を煌めかせて嬉しそうにプリンを眺める。

「いえ、代表の方がとても柔らかそうです。食べてしまいたいくらいです」
「全く、その通りですわ。因みに柔らかそうではなく、それはそれはふにふにして柔らかいんですのよ」

ラクスの明らかに触った事あります発言にレイはフリーズする。

「それより、このままでは4年前と殆ど変わらない状況で詰まらないですわ。かぼちゃプリンしか用意してないって事はございませんよね。貴方なら…」

イスに座ってる為バズーカは床に置かれているが、いつでも打てるとオーラで語っている。

「…勿論です」

一言だけ返して、レイは再びキッチンへと消える。
暫くして、色んな種類のケーキなどをレイは持ってきた。

「おおーっ!!」
「まぁ!」
「パンプキンパイ。かぼちゃロールケーキ。かぼちゃのモンブラン。栗のモンブランもあります。マロングラッセ、栗饅頭に栗羊羹。後、柿ゼリーもあります」
「うにゃあ!凄いにゃ凄いにゃ!!」
「秋の味覚満載ですわね」
「ハロウィンは万聖節の前夜祭ですが、収穫感謝祭の意味も入ってますから」
「収穫に感謝して美味しく頂くにゃ!」
「あら、まだダメですわ」
「にゃっ!?」

まさかのラクスのダメ発言にカガリは驚く。

「レイさんに感謝の印を忘れてますわ」
「ああっ、そうにゃ!」

カガリは徐に立ち上がってレイの側に立つ。

「お菓子、ありがとにゃ♪」

上目遣いでお礼を言ったカガリはそのままレイに抱きつき頬にキスを送った。
レイが妄想していた事より上の事が起きて体は氷のように固まる。

「うにゃ?レイ…動かなくなったにゃ」
「カガリさん、放っておいてあげて下さいな。今、彼はあちらの世界で目眩く甘美な出来事を体験してらっしゃいますので」
「…さっきも言ってたけどよく解らないにゃ」
「フフッ、それよりレイさんが作って下さった。こちらの美味しそうなお菓子達を頂きましょう」
「そうだにゃ。食べてやらにゃいと悪いもんにゃ」

カガリとラクスはテーブルの上に広げられたお菓子達を談笑しながら食べる。
レイは1人、あちらの世界で目眩く濃厚で幸福な一時を過ごした。










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