シンクドメモリーズ




「わ」



 パシャ、と音がしてスイは顔をあげる。聞き覚えのない、変な音は頭上から。その先には、木の枝に座ってこちらを見下ろしている、梓がいた。



「シャッターチャーンス! 美人だねえ、スイ」

「あ、梓……何しているの」

「んん? 写真を撮っているんだよ。スイ、あんまり写真撮ったことないでしょ? せっかくあんなにすばらしい作品を残しているのに、後世に顔写真残っていないんだよ?」

「……写真? それ、写真撮れるの?」



 スイは梓の手にあるものを見て、驚く。手のひらサイズの、薄い長方形をした物体。写真を撮るといったら、大きな写真機を使うものだ。あんなに小さな……機械、だろうか、あれで写真など撮れるわけがない。

 

「アイフォ……っていってもわかんないか。電話とか色々できる機械だよ。写真も撮れる。俺の行っている未来ではみんな持っている機械だよ」

「……未来ってすごいんだね……?」

「うん。だからさ、もっと写真撮ろう? 俺が撮ってあげるよ。こっちの写真機と違って、一秒もかかんないで撮れるからさ。くたびれないし」

「一秒もかかんない? 写真って一枚撮るのに何秒もじっとしてないとでしょ?」

「未来の写真機はそんなことないのです〜! だからちょっと動いていてもオッケー!」

「す、すご……!」



 梓は木から飛び降りると、すっとスイのもとに寄ってくる。そして、スイの手をひいて屋敷のなかに入っていってしまった。




***



「ちょ、ちょっと……なんの写真を撮ろうとしてるの……!?」

「ハメ撮り」

「はめ、どり……? あっ」



 梓の部屋に連れて行かれるなり、着物の帯をほどかれてしまったスイ。肩がはだけてしまって、羞恥を覚えたその瞬間に……パシャリ、と音が鳴ったのだ。その音が写真を撮られた時のものだと覚えたスイは、このようなはしたない姿を写真に納められてしまったのかと、焦る。



「ふふ、動画もできるよ」

「どうが……?」

「動いているところをそのまま映像で納めるの。実際にやってみようか。ね?」

「えっ……あ、ゃっ……」



 わけがわからなくて混乱しているスイを、梓は後ろから抱き込めた。そして、機械を持った手を伸ばして、画面に自分たちを写すと、とん、と画面を指で軽く叩く。そうすればピロンと、また不思議な音が聞こえてきた。



「な、なに……?」

「自撮り。写ってるよ、スイ」

「えっ? と、撮ってるの……?」

「うん。ほら」

「んっ……ゃん、……」



 梓がスイの乳首をきゅうっと摘む。それと同時に、機械を近づけてきた。

 画面に、スイの薄桃色の乳首がくにくにと虐められる様子と、スイの赤い顔が映る。自分のいやらしい姿を見せつけられて、スイはあまりの恥ずかしさに目を逸らしたが……刺激は止まない。ゆっくりひっぱって、そのままこりこり。ぷにぷにと先端とつついてはまたこりこり。梓はじっくりと画面にスイの乳首を納めている。



「ぁんっ……んっ……んん……」

「気持ちいい?」

「きもち、い……んんっ……」

「可愛い、スイ。ほら、乳首もっといじめてあげる」

「あぁっ……! だめっ……ひっぱって、こりこり……だめぇ……」



 親指と人差し指で、すりすり。ぷっくりとふくらんだ乳首を梓はねちっこくいじってきた。「撮られている」なんてよくわからなくて実感もわかなかったスイは、されるがままにとろとろに蕩けてしまって、甘い声をあげて悶え続ける。



「ほら、気持ちいいって……言ってみて。もっと素直に。いやらしく」

「ぁふ……きもち、いい……ぁんっ、あっ……ちくび、……きもちい、い……きもちいい、ー……」

「ふふ、エッチ」



 梓は乱れるスイに満足したように微笑んで、耳元にキスをする。そして、再び画面を軽く叩いて、ピロンと音をさせた。

 梓が乳首から手を離す。そして、足りなさそうな顔をしているスイに笑いかけると、今度は下腹部へ手を伸ばした。ひくひくと寂しそうにしている孔を指の腹でとんとんと叩いてやる。



「今のでね、録画できたからね。次はお尻触ってあげる」

「ふぁ、……あぁぁ……」



 孔のしわをひとつひとつなぞるように……ゆっくり、いりぐちを撫でる。くぱ……くぱ……と息をするようにヒクついている孔のなかには、なかなか指をいれてやらない。スイは焦れてしまっているのか、はぁー、はぁー、と深い息をしながら体をもじもじとさせている。



「あのね、録画ってすごいんだよ。撮った映像を、すぐに自分でみることができるの」

「あぁー……あ、……」

「え? そんなことはどうでもいいからはやくお尻のなかぐちゃぐちゃにしてって? まあまあ、焦らないで。みてよ、これ」



 お尻のいりぐちをひたすらにいじられて、いれてもらえなくて、ぽーっと熱に浮かされているスイ。梓はそんなスイの目の前に画面をもってきて、それに何かを映し出した。



『きもちい、い……』

「えっ……」

『ぁんっ……ん……やぁん……』



 画面に映し出されたのは……紛れもない、先ほどの自分。乳首をねちねちと虐められて蕩けている、自分の姿だった。

 かあーっとスイの顔が熱くなる。

 恥ずかしい。こんなの……恥ずかしい。どうしよう。



『あぁっ……』

「ぁあんっ……!」



 羞恥心。それが一気に沸き上がってきたというのに。

 不意にずぶんっと指を中に突っ込まれて、スイはたまらず甲高い声をあげてしまった。



「ほら、みてごらん。画面の中の君は乳首をいじられてアンアン言っていて、今の君はお尻をいじられてアンアン言ってるよ」

「や……ぁあっ……あ……」

「どっちも気持ちよさそうだねぇ。お尻と乳首両方いじったらどうなっちゃうのかな?」



 梓の指が、スイのお尻のなかをゆっくりかきまわす。前立腺を刺激するようにぐいぐいとソコを押し上げたり、ナカ全体を揺らすように大きく手を動かしたり。くちゅ、くちゅ……といやらしい音が、止めどなく聞こえてくる。

 スイはお尻をとろとろにさせられながら、画面を凝視していた。お尻が、気持ちいい。指と一体化しそうなくらいに蕩けてしまって、じんじんと熱い。でも……画面のなかの虐められている自分の乳首をみていたら……乳首が寂しくなってくる。

 むずむずする。乳首が、むずむずして、物欲しくなる。お尻はこのままぐちょぐちょにして欲しいけれど……乳首も触って欲しい。乳首も……



『あぁんっ……! きもちいいっ……!』

「ひぁ……っ、!」



 たまらなくなって。スイは、とうとう自分で乳首をいじりだした。

 梓は目を大きく見開いて、にたりと笑う。指をちゅるんと引き抜くと、スイの脚を持ち上げ……そのまま、自分の堅くなったものの上にのせ挿入してしまう。



「あひぃっ……! おっきぃっ……!」

『だめぇっ……!』



 ずぶんっ、と梓のものが奥まで入り込む。スイはのけぞって、あまりの快楽にふるふると体を震わせた。



「あ、ひ……」



 梓は腕にスイの膝の裏をかけるようにして、スイの脚を開脚させる。そしてその状態でゆさ、ゆさ、とゆっくり体を揺すり始めた。



「ほぅら、お尻も乳首も気持ちいいね。スイ」

『あぁん……あん……』

「きもちいい、……おしり、も……ちくびも……きもちー……」



 スイは自らの乳首をこりこりといじりながら、梓の熱を感じていた。体中が熱くて、おかしくなる。



『ちくび、きもちいい……』

「あずさの、おっきいの……きもちい、い……あぁんっ……あんっ……」

「うーん、すごいエッチだね。もったいない、これも撮っちゃおうか」



 梓は腰を揺らしながら、スイの前に放り出された機械に手を伸ばした。また画面を触って……ピロン、と音を鳴らす。



「見て、スイ。ローアングルだよ。結合部ががっつり映ってる。やーらしい」

「はぁうっ……こんなに、ふといのが、……おれの、おしりに、……あぁっ……」

「乳首もちゃんといじって。映ってるんだから。ぴーんって勃ったいやらしい乳首、ちゃんと下から撮っても映ってるよ」

「あっ、ちくび、……あっ……やぁっ……はぁんっ、あっ……」



 ぱちゅんぱちゅんと思い切り突き上げられる。スイは撮られているとわかっていながらも快楽には抗えず、乳首をいじりながらとろとろの声をあげ続けた。



「あっは、やば。スイのとろっとろのお尻、めっちゃいやらしい」

「ぁんっ、あっ……あっ、くっ、……ぅんっ……!」

「中出しの瞬間も、ばっちり……撮ってあげる!」

「あぁっ――!」



 ズンッ! と思い切り突き上げられて――スイは目を白黒させながら、イってしまった。なかで、ドクンドクンと梓のものが震えている。

 

(なか……だされちゃった……)



 おなかのなかが、精液で満たされる。その心地よさに、スイはぽーっとしながら何気なく画面に目を向けた。そこには……ビクンッ、ビクンッ、と震えながら、梓のものを締め付ける自分の孔が映っていた。



***



『あぁっ――』

「や、やめて止めて恥ずかしい」



 スイは梓と一緒に布団にくるまりながら、あるものを見せられていた。

 先ほどの、「ハメ撮り」映像だ。すっかり熱も冷めて冷静になってから自分の痴態を見せられるというのはものすごく恥ずかしいというのに……梓は楽しそうにそれを見せてくる。



「わー、可愛い。この映像、スイにもあげるよ」

「い、いらないから! 恥ずかしいからほんと、もう、止めてってば!」

「え〜、持っててよ。俺といやらし〜ことした記念にさ。どうせ君は俺のことを好きになったりしないんでしょ? だからずっとこの映像持っててよ。死ぬときもね。川に飛び込む前にちゃんとこの映像持っているかどうか、確認するんだよ?」

「なんの記念だよ……! ……、……え?」



 ふざけたことを言うな、とスイは梓をどついたが……何か、彼の言葉にひっかかりを感じた。

 ……「川に飛び込む」、だって?



「……あ、梓? 梓は……俺の、……その、死因とか、……知ってるんだよね?」

「……ん?」



 ぞわ、とすさまじい恐怖が襲ってきて、スイは梓を見つめる。

 しかし梓は……頬杖をついて、何事もなかったように、目を細めるだけ。



「ね、スイ。俺とのセックスもちゃんと、水の中に沈めてきてね」



シンクドメモリーズ…終


梓の章



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